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中分研究室

文化と技術を織りなし継承する「心」を探る

中分研究室 NAKAWAKE Laboratory
准教授:中分 遥(NAKAWAKE Yo)

E-mail:E-mai
[研究分野]
心理学、文化情報学、認知人類学、民間伝承
[キーワード]
社会心理学、文化進化、技術進化、ゲーム理論、集団意思決定、宗教、規範、科学計量学、認知情報戦略

研究を始めるのに必要な知識・能力

慣習に捉われずに必要なことを効率よく進める力、基礎を疎かにせず学び続ける力、他者からの助言を真摯に受けとめる力を重視します。プログラミング・統計・心理学実験法に関する基礎知識があれば望ましいですが、入学後に習得することができます。

この研究で身につく能力

社会や文化は複雑であり、言葉(自然言語)で表現すると問題が曖昧となることがあります。私たちの研究室では、社会的現象をモデル思考によって捨象・分解・整理し、理知的に再構築する力を培います。研究手法として、心理学実験、計算機シミュレーション、データ分析、計量テキスト分析、フィールド研究などを学び実践します。「神は細部に宿る」という言葉が指すように、核となる先行研究は、実験からデータ分析まで細部に踏み入って検証します。一方、分野を横断し、広範囲の文献を読み解くことで、知識を体系化する力を身につけます。

【就職先企業・職種】情報技術、教育、経営、研究等の業種

研究内容

研究室の主なテーマ

心理学(主に社会心理学・実験心理学)文化情報学の手法を中心に、実験室実験・社会調査・計量テキスト分析・計算機シミュレーション・フィールド実験などを通じて、文化と人間社会の関係を実証的に明らかにすることを目的としています。
文化進化論のアプローチに従い、「文化を社会的に伝達される情報/知識体系」と定義し、以下の3つのテーマを中核的関心とし実証的な観点から研究しています(これら3つは広義なカテゴリーであり、厳密なカテゴリーとしての定義は目的としていません)。
物語(e.g., 昔話、流言、民間伝承、フェイクニュース)
技術(e.g., 石器、ロボット、人工知能、技術投資)
信念体系(e.g., 俗信、宗教、儀礼、道徳規範)

(※ 心理学を専門としていますが、個人の精神的健康や職場のモチベーションといったテーマは専門外となるため、研究指導は難しいです。ただし、数理モデル[e.g., ゲーム理論, 社会的選択理論]などの理論的な形式で表現できる場合は、テーマとして選択可能となります。また、上記の物語・技術・信念体系と組み合わせた内容であると、私の専門と関連してきます。事前に相談いただけると提案できることも多いので、相談いただけると嬉しく思います。)

現代的な問題に関して

信念体系と科学技術の関連として、人工知能がもたらす恩恵と倫理的問題について関心があります。また、科学技術を伝達・探索される文化情報の一形態とするメタ的な研究(適応度地形における探索課題)を推進しています。物語や信念体系の応用研究として、デマやフェイクニュースを含む、社会やメディア空間における、意図せざる情報の拡散や操作といった認知情報戦略に関心があります。

また、生態学(e.g., 群集生態学・数理生態学・行動生態学)の理論や分析手法(e.g., 生物多様性指標, 個体群動態, 最適採餌理論)を文化に適用する研究に関心があり、生態学の研究者と共同研究を実施しています。動植物のみならず、人間の文化的行動を含んだ生物文化多様性を研究し持続可能な社会の実現に貢献したいと考えています。

上記以外でも企業文化や地域文化、多数決といった社会制度、武術・服飾・舞踏・意匠・サブカルチャーといった文化の変遷も興味の対象となっています。データ科学や人工知能を様々な人文科学・社会科学の研究に応用することに関心があります。

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主な研究業績

  1. Nakawake, Y., & Sato, K.(2019). Systematic quantitative analyses reveal the folk-zoological knowledge embedded in folktales. Palgrave Communications, 5(1), 1-10.
  2. Nakawake, Y., & Kobayashi, Y.(2022). Negative observational learning might play a limited role in the cultural evolution of technology. Scientific Reports, 12(1), 970.
  3. Nakadai, R., Nakawake, Y. & Shibasaki, S.(2023). AI language tools risk scientific diversity and innovation. Nature Human Behaviour 7, 1804-1805.

研究室の指導方針

毎週ゼミで研究相談に加え、各自の進捗状況について簡単に報告します。ゼミでは、他のメンバーの発表を聞き、議論することによって、様々な研究内容について考えていただきます。博士後期への進学を検討する方は、前期課程で査読付きの論文1本の完成を目指します。私としては、学術研究として価値が高いテーマを選んでいただきたいと思っています。しかし、キャリアアップを目的とする方は、目的や問題意識に特化したテーマを選択しスキルを獲得するのが良いと思います。統計・プログラミング・心理学実験等のスキルを必要に応じて学んでいただきます(苦手な方は事前に相談してくださいね)。論文の指導・添削に関しては、その場(オンラインも含む)で、一緒に論文をチェックしながら直していく方法が好きなので、このスタイルが多くなることかと思います。私や研究室に対して、不満や悩みが合った時は、早い段階で共有していただけるととても嬉しく思います。

[研究室HP] URL:https://sites.google.com/view/nakawakelab/

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