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池田(満)研究室

人が知識を創造・獲得・共有するプロセスを
解明・支援する方法を創る

池田(満)研究室 IKEDA Laboratory
教授:池田 満(IKEDA Mitsuru)

E-mail:E-mai
[研究分野]
知識科学、サービスサイエンス、教育工学、認知心理学
[キーワード]
オントロジー、医療サービス、メタ認知、経験学習、協調学習、知識共有、インストラクショナルデザイン、看護教育、防災教育

研究を始めるのに必要な知識・能力

知識を構成する概念を峻別すること、認知活動を支援することに関心があり、実践研究を通じて知識の創造・共有プロセスを解明することへの意欲が重要です。知識工学・教育工学・認知科学の基礎、プログラミングスキルを習得していることが望ましいですが必須ではありません。

この研究で身につく能力

 医療現場(病院・大学医学部)・福祉行政(県・市・町)・教育現場(企業・大学)・地域コミュニティ(NPO/住民ボランティア)などのフィールドでの実践研究を通じて、知識工学・サービスサイエンス・教育工学・認知心理学に関する理論的知識を学び、実践に必要なコミュニケーション力・計画力・実行力を身につけ、それらを総合的に活用して問題を解決する力を身につけることができます。
 このような、知識科学・サービスサイエンスとして身につける能力は、学部で身につけた専門性(例えば、情報科学・経営学・物理学)とは一見すると無縁に感じますが、社会で専門能力を活かすうえで不可欠な能力です。いま、多くの組織が、自らの専門性を発揮した実践を知識へと昇華させ、社会の中でその知識の価値を高めることができる人を渇望しています。

【就職先企業・職種】 電気通信企業、経営コンサルティング、大学教職員

研究内容

ikeda-m1.jpg 知識科学に基づくサービスサイエンスの研究では、サービス関係者(サービスを受ける人、サービスを提供する人)の個人・集団・組織について、どのようにサービスが創出・提供・消費・改善されるのか(プロセス・コミュニケーション)、どのように価値が造られて共有されるのか(価値共創)、サービスを生み出す主体はどのような知識・能力を持っているのか(知識・スキル)、の解明からはじまり、それをモデル化(オントロジー工学)し、支援する方法を開発(教育モデルの構成・情報システムの開発など)し、それらの成果を医療現場(病院・大学医学部)・福祉行政(県・市・町)・教育現場(企業・大学)・地域コミュニティ(NPO/住民ボランティア)などのフィールドでの実践を通じて検証します。
 このような研究プロセスの特長は、サービス・知識という曖昧・抽象的概念を知識科学・オントロジー工学の表現力を用いて「見える化」し、知識創造・継承・共有の基盤にすることです。オントロジー工学を基礎にすることで、社会にある実問題にアプローチしつつ、その成果を普遍性のある知識へと昇華させることができます。
 より具体的には、医療・教育・災害対策などの公共的サービスを対象として、思考に関わる理論(メタ認知・教育学の理論・認知心理学)を基礎として、サービス創造知識をオントロジー工学を用いてモデル化し、支援システムを開発する研究活動を行っています。
 研究の一例を右の図に示しています。患者中心医療、チーム医療をどう進め、看護師のバーンアウトを抑制するにはどうしたらいいか?という問題にアプローチするために、看護思考法の教育プログラムを実証的に構成する研究です。この研究を通じて、メタ認知・批判的思考の能力を身につけることが、問題解決の糸口の一つになることがわかってきました。医療分野では、この他に、医療情報システム(電子カルテ)を用いた知識共有に関する研究、医療安全に関する研究などを行っています。また、最近は、近隣の市町村と連携して、地域での高齢化社会の相互扶助コミュニティ形成・防災教育に関する研究も進めています。今後も、このような知識科学を基礎にしたサービスサイエンス研究の幅を拡げていきます。
 研究室の学生は、修士論文研究では、このような研究プロセスの一部について、問題の定式化と解決に取り組み、博士論文研究では、全体のプロセスについて問題発見・問題定式化・問題解決に取り組んでいます。
 学術活動は、人工知能学会、教育システム情報学会、教育工学会(それに対応する国際学会)を中心に研究成果を発表していますが、今後は、医学教育システム学会・サービス学会など、より現場に近い学会での活動の幅を拡げていこうとしています。

主な研究業績

  1. 医療サービス実践知の共有支援に向けたオントロジーの構築と利用-クリニカルパスに基づく医療ワークフローのモデル化とその実践知獲得インタビューでの利用、小川、山崎、池田、他、人工知能学会論文誌、461-472 (2011)
  2. 初学者の研究関心の表現媒体と分析手法、中沢正江、池田 満、日本教育工学会論文誌、pp. 343-351、(2011)
  3. 避難時の心得における挿絵と説明文の対応関係について、桑原健悟、田中孝治、池田 満、堀 雅洋、日本災害情報学会第16回研究発表大会、pp.186-187、2014 【日本災害情報学会優秀ポスター賞「阿部賞」受賞】

研究室の指導方針

サービスサイエンスは新しい研究領域ですが、知識科学の応用領域としてとても魅力的です。特に、知識創造・共有に関わる課題が現場に山積していて、それを解決するためには新しい認知活動に関するアプローチが必要なところが特徴的です。このことを踏まえて、実践研究を重視した指導を行います。また、研究現場から自分の研究活動を通じて一段上の視点から常に見直して、より価値のある新しい知識を生み出すにはどうしたらいいのか?ということについて考えることは、研究成果をあげるうえでも、汎用性の高い思考スキルを身につけて、成長においても大切なことです。このために、ひとりひとりが、根拠に基づいて、論理的に、主体的に考えること、研究室内ではもちろん、研究室の境界を越えて、学会・実践現場などでの他者との交流を通じて知識を共創し、洗練することを大切にして指導します。

[研究室HP] URL:https://www.jaist.ac.jp/ks/labs/ikeda/cgi-bin/wiki/wiki.cgi

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