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濵田研究室

人工細胞膜の形や動きを探求する

濵田研究室 HAMADA Laboratory
准教授:濵田 勉(HAMADA Tsutomu)

E-mail:E-mai
[研究分野]
ソフトマター物理、生物物理
[キーワード]
ソフトマター、人工細胞、生体膜、リポソーム、相分離、分子ロボティクス

研究を始めるのに必要な知識・能力

リポソームの実験に興味を持って楽しく取り組めること、物理・化学の基本的な知識があることが望ましいです。

この研究で身につく能力

  1. 人工細胞膜の実験技術
  2. ソフトマターの物理化学に関する知識
  3. 光学顕微鏡を主とする分析装置の取り扱い技術
  4. 英語の学術論文を読み書きする力
  5. 学会発表や修士・博士論文などで成果を表現する力

【就職先企業・職種】 化粧品、食品、化学、機械、バイオ研究開発など

研究内容

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図:膜融合の光制御 (Langmuir 2017)。

 両親媒性ソフトマターである脂質分子は、自己集合して膜を形成します。脂質膜は、2次元膜面内での相分離や、3次元空間でのベシクル変形などの多様な物理現象を示し、その構造は弾性エネルギーにより支配されます。生体細胞は、この脂質膜を器・界面として利用しています。ミトコンドリア・小胞体のような複雑な構造体を形成したり、膜の融合・分裂などのダイナミックな動きが物質輸送を行っています。また、脂質膜小胞は、ドラッグデリバリーや化粧品などの材料としての応用開発も進められています。
 私たちは、人工的に作製したマイクロメートルサイズの膜小胞(人工細胞膜、リポソーム、脂質ベシクル等と呼ばれる)を用いた実験により、膜の新奇現象を発見し、膜の新たな可能性を表現することを目的に研究を進めています。様々な膜の形や動きを創り出し、物理化学的な解析を使って、膜の世界を探求します。

1.光コントロール

光応答性分子を膜に導入することで、膜の融合、相分離の生成・消滅、小胞の開閉(細胞のオートファジーに類似した動き)、膜の出芽(細胞のエンドサイト-シスに類似した動き)を光で制御できることを発見しています。ナノメートル領域の膜分子の反応を、マイクロメートル領域の膜ダイナミクスに変換する機能システムを、膜の物性に基づき設計します。

2.コロイドとの相互作用

細胞膜がウィルス等の物質を取り込むプロセスのモデル実験として、膜とコロイド粒子の複合化ダイナミクスの研究を行っています。細胞表面を模倣した不均一な膜では粒子サイズに依存して吸着する領域が決定することや、膜上での粒子の拡散係数の変化、膜張力により吸着粒子が膜を透過すること等を見出しています。

3.力学応答

物理的刺激に対する膜ダイナミクスの研究を行っています。これまでに、シアストレスや浸透圧によって膜面の相分離構造・パターンが変化することを発見しています。刺激の強さ、温度、膜の分子組成などに依存した、膜の応答ダイナミクスの体系化を進めています。

主な研究業績

  1. "Photo-induced fusion of lipid bilayer membranes" Y. Suzuki, et al., Langmuir, 33, 2671 (2017).
  2. "Domain dynamics of phase-separated lipid membranes under shear flow" T. Hamada et al., Soft Matter, 18, 9069 (2022).
  3. "人工細胞膜のダイナミクス解析と構造制御" 濵田勉, 応用物理, 86, 875 (2017).

使用装置

共焦点レーザー顕微鏡
蛍光・位相差顕微鏡

研究室の指導方針

私たちは、人工細胞膜の新奇現象を発見し、膜の新たな可能性を表現することで、膜系が示す物理現象の原理究明を目的に研究をしています。研究活動を通して、基礎知識を活用し課題を解決する能力を養い、好奇心を持ち自ら調べ学ぶことの楽しさを経験してもらいたく思います。

[研究室HP] URL:https://www.jaist.ac.jp/ms/labs/hamada

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