[JAIST]
[知識科学研究科]
[イノベーションデザイン]
[イノベーションマネジメント講義]
公開セミナー「人工知能とサービス科学と知識科学」(3月1日19:00-21:00)
IoT時代の人工知能とソフトウェア工学
2017年12月15日に開催された
日本科学技術連盟 2017年度 第7回 ソフトウェア品質管理研究会で
特別講義「人工知能とソフトウェア工学・品質管理」を行いました.
- アジェンダ
- 人工知能とソフトウェア工学の歴史
- 論理に基づくソフトウェアの設計・検証
- ソフトウェア工学・品質管理における機械学習の活用
- サイバー・フィジカルシステムのためのソフトウェア工学・品質管理
- アブストラクト
第3次人工知能ブームと言われているが、IoT/クラウド化の進展と人工知能技術の進化により、様々な分野で大きなイノベーションが起きる可能性が出てきている。ソフトウェア工学・品質管理においても、人工知能との関係・影響を体系的に把握しておくことが必要である。本講義では、まず人工知能とソフトウェア工学の長い歴史を概観し、3つの観点で人工知能とソフトウェア工学・品質管理の関係を論じる。まずは、論理に基づくソフトウェアの設計・検証を紹介する。このアプローチは、第2次人工知能ブームの時代から研究・開発が進められてきたが、近年の計算機能力の向上により、実用化が進んでいる。次に、第3次人工知能ブームのキーである機械学習を活用したソフトウェア工学・品質管理の新しい展開を紹介する。最後に、IoT/クラウド時代のサイバー・フィジカルシステムのためのソフトウェア工学・品質管理について論じる。サイバー・フィジカルシステムでは、IoTで集まった膨大なデータをクラウド側で人工知能を活用し処理する。このようなダイナミックに変化する環境の中で、自ら学習し進化するオープンなシステムの品質管理はどのように行うべきであろうか。さらに、ビジネスと情報システムの一体化も進む。ここでは、ビジネス/ソフトウェアのコデザイン、すなわち「イノベーションデザイン」という考え方が必要になってくる。本講義では、「イノベーションデザイン」の品質管理についても展望したい。
関連発表
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内平 直志, 森 俊樹, 大島 丈史
「人工知能とプロジェクトマネジメント」
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review 13 巻 4 号 p. 277-283, 2020.
近年,産業や社会のディジタル化が進み,人間の知的な活動を支援する「人工知能」の技術が様々な分野で利用されるようになってきた.人間の知的な活動の典型であるプロジェクトマネジメントにおいても,人工知能技術の効果的な導入が期待されている.一方,人工知能の実用化が進むにつれ,従来の情報システム開発にはなかった困難さを伴う「人工知能応用システム」開発のプロジェクトマネジメントも喫緊の課題になりつつある.本稿では,プロジェクトマネジメントにおける人工知能の適用と,人工知能応用システム開発におけるプロジェクトマネジメントの二つの面から,課題と研究動向を紹介する.
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森 俊樹, 内平 直志
「リスクマネジメントにおける機械学習と知識創造の統合アプローチ」
2018年度春季研究発表大会, 2018.
プロジェクト・リスクマネジメントの重要性は広く認識されており,そのプロセスは概ね標準化されているにも関わらず,効果的な実践や定着化が困難となっている実態がある.その根本原因として,「リスクという不確実性を伴う事象に対する,トレードオフを伴う意思決定の難しさ」があると考えられる.本論文では,リスクマネジメントのさらなる高度化に向けて,機械学習と知識創造の統合アプローチとして“Machine-in-the-loop(機械参加型)知識創造プロセス”を提案する.さらに,機械学習と知識創造を効果的に統合するための必要条件についても考察する.
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大島 丈史、内平 直志
「ソフトウェア開発の変動マネジメントにおける知識構造モデルの活用」
2018年度春季研究発表大会, 2018.
多くの組織で開発プロジェクトの成功率を高めるためのナレッジの蓄積と共有や人材育成の強化などの取組みが行われているが,多岐に渡るマネジメントの知識継承は容易ではない.失敗プロジェクトで発生する問題を分類すると,「要件の追加や漏れ等による規模増加」,「生産性の悪化による遅延」,「スケジュール圧迫と品質悪化の悪循環」などが典型的なパターンとして挙げられる.これらの問題は,計画と変動把握の精度を高め,早期に対処することによって抑止可能なものが多い.そこで本稿では,このような変動のマネジメントに関するプロセスと管理要素や対処方法の関係等を構造化したマネジメント知識モデルを提案する.このモデルの活用例として,プロジェクトの変動を可視化する手法を適用した場合の例を示す.合わせて既存の知識体系との関係を整理し,システム化に適した知識や,暗黙知としての継承方法を考える知識,AI活用が可能な知識等の分類を示す.この知識モデルにより,属人的な暗黙知の形式知化や,知識継承を効果的に行うことが可能となる.
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大島 丈史、内平 直志 「プロジェクトマネジメントへのAI活用の知識分類モデル」
第25回 国際P2M学会春季研究発表大会, 2018.
プロジェクトマネジャーに必要とされる知識には、形式知化が容易なものと難しいものがある。定量的管理プロセス等は比較的形式知化が容易であるが、リスクの特定や問題への対策検討などは経験や暗黙知の占める部分が多く、組織での知識継承が難しい。近年のAI(人工知能)技術の進展に伴い、異常の予測等の暗黙知の領域についても、AIの活用によって補完する取組みも行われ始めている。本稿では、ソフトウェア開発プロジェクトを中心として、プロジェクトマネジメントの知識を、形式知化やシステム化の可否やAIによる代替または補完の可否によって分類し、AI活用や知識継承の枠組みとして活用する方法を提案し、活用事例によって知識分類モデルの利用効果を評価する。
問い合わせ先:内平直志 uchihira@jaist.ac.jp