ikeda lab

状況に応じて判断する麻雀AI

背景と目的

 麻雀やポーカーなどの不完全情報ゲームにおけるAIは,プレイヤが満足するレベルに到達しておらず挑戦的な研究対象です.近年,機械学習や最適化手法によりAIの強さは向上しています.しかし強さの向上に伴い,AIの行動の理由を推測することが困難になることもあります.そのため,「ゲームの考え方が理解できない」ということにつながってしまいます.
 その中で麻雀は,「役を覚える」「アガリやすい手をつくる」「戦略を考え選択する」など考えることがたくさんあり難しいゲームです.しかし,これらの考え方を直接教わる機会は少ないという問題点があります.
 これをAIに教えさせることにより,プレイヤの不満や負担の軽減,また,他のゲームへの応用が進むことを目的としています.

アプローチと結果概要

 本研究では,麻雀における戦略選択を対象とし,初級者や中級者の理解を助けるような情報提供を行う仕組みを考えました.
 まず,牌譜(ゲームの記録)から戦略を分析しました.その結果,「早いアガリを目指す」「高得点を目指す」「振り込みを避ける」が重要な戦略であることが分かりました.それぞれのモデルを作成したところ,目的を果たすような性能を得ることができました.
 その上で,「どの状況でどの戦略を使っているか」をラベル付けし,決定木による機械学習手法であるJ4.8を用いて学習させました.その結果,「どの戦略を重視するべきか」「この状況ではどの手が好ましいか」などが出力されるシステムを作成することができました.打牌候補を3つ挙げた場合,86%の確率で上級者の意見と同じものが含まれることが分かっています.

研究担当者,業績,リンク等

・本研究は田中悠(2014卒)が担当し,現在は萩原涼太が担当し発展させています.
・本研究の代表的な論文は以下の通り.
 - 田中 悠,池田 心:
  麻雀初級者のための状況に応じた着手モデル選択
  第31回ゲーム情報学研究会,pp.1-8(2014-03)