ikeda lab

戦略を切り替える格闘ゲームAI


背景と目的

 本研究では『ストリートファイター』シリーズなどで有名な格闘ゲームを題材に扱っています.格闘ゲームでは特殊な場合を除いて(MugenプラットフォームのチートAIなど)コンピュータAIが人間の上級者プレイヤよりまだまだ弱く,強いAIの開発が期待されます.

 さて,格闘ゲームは行動の決定が同時に行われ,状態の移り変わりも複雑なのでチェスや将棋のようなゲーム木探索が難しいです.そのため既存の格闘ゲームAIのデザインには,我々の分類で以下の2つがあります.
 ・ルールベース型:
  - 大量のIf-thenルールにより記述.相手がジャンプしたら対空攻撃,相手が離れたら飛び道具攻撃,など
  - 行動パターンが固定的になりがち
 ・学習ベース型
  - 相手の行動を記録していき,次の相手の行動を予測してそれに有利な行動をとる
  - 学習速度の都合上,各状況で行動が単発的になりがち
 この2つにはそれぞれ短所があるので,我々はこれら2つの良いとこどりによって, 洗練された行動のパターンを相手の挙動によって使い分ける,より強いAIプレイヤを作成しようと考えました.

アプローチと結果概要

 我々は複数のルールベース型AIを用意して,どのAIが現在の相手に対して有利なのかを調べるようにしました.

 こうする事で,ルールベース型のように複雑なコンボ攻撃や洗練された連続的な動作を繰り出しながら,学習ベース型のように相手に対して有利になるような対応を行っていきます.(ただし欠点として学習ベース型よりも状況への対応が荒っぽかったり,変なタイミングで使用AIを切り替えてしまい動きが大きく崩れたりします)
 我々はフリーの格闘ゲームプラットフォームであるFightingICEを使ってこのAIプレイヤでの対戦実験を行いました.ルールベース型AIを3つ組み合わせ,それらを試合中に切り替えて使って元の3つそれぞれより勝率が高くなる事を示しました.

研究担当者,業績,リンク等

・本研究は主に佐藤直之が担当しています.
・本研究では以下の論文が採録されました.
 - Naoyuki Sato,Sila Temsiririrkkul,Shogo Sone,Kokolo Ikeda:
 Adaptive Fighting Game Computer Player by Switching Multiple Rule-based Contorollers
 3rd International Conference on Applied Computing & Information Technology ,(2015-7)