Imai_Kaneko'88(Y.Hayashi)
情報という用語の変遷(近代から現代)
日本語辞書の「事情の知らせ」や軍事用語として意味から,
最近15年ほど前に英語の「information」の持つ豊富な語義が「情報」に付け加わった.
「information」意味の変遷
古い順の8つの意味(Oxford English Dictionary 第2版, '89年より)
- 「伝える」という行為. これは心や性格をかたち作るという意味で
訓練, 教育等のことである. 14世紀の用例で, ほとんど使われていない.
- 同じく「伝える」という行為であるが, 知識やニュースの伝達のこと
(OED第1版ではまだ存在).
- 事実や出来事に関して伝えられた知識
(第2版で, 「遺伝情報」や「情報量」などが加わる).
- 特に人に対して伝えるという行為
(ほとんど存在しなかった).
- 特に英国の法律において訴えること(変わらず存在).
- その他の法的手続きで使われる表現(変わらず存在)
- 何等の行動的な性質をともなう「伝える」という行為
(例えばインスピレーション).
- 情報内容, 情報爆発, 情報流通といった
複合語の限定詞としての使い方
(第2版で加わる).
19世紀から20世紀後半の大きな変化として,
「伝える行為」としての意味から
「伝えられる」何かが強調された一方,
「遺伝情報」などの概念と,
「収集され, 探索される」情報
という意味とが新たに出現した.
林 幸雄
(yhayashi@jaist.ac.jp)
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