口承テキスト性と記号操作性
電子テキストは, 口承テキストと同じように, ダイナミックな性格を持っている.
電子のWriting Spaceも, 読み手が1回1回読むごとに, テキストの呼び出し, 決定に
参加するという意味において書き手と読み手の間で共有される.
口承でもってテキストを提示することが持つ
即時性と柔軟性は, 古代や西洋の文化の下では2000年
の間周辺的なものであったわけだが, コンピュータにおいてテキストの本質を規定
する性質として, 再び表面に姿を表す.
メディア変容の積層構造(実線と点線の2つの変容のプロセスが重なっていく)のなかで,
場所的な空間性と電子的な空間性が同時に住まっていくように, 社会総体が再構成
されていく.
井上他編
「メディアと情報化の社会学」
第1章 電子情報化とテクノロジーの政治学, 吉見俊哉著
より転用('80年代以降のマクルーハンのメディア論を修正).
林 幸雄
(yhayashi@jaist.ac.jp)
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