先の報告では,インパルス応答で定義されるガンマチャープフィルタをIIR形の
非対称性補償フィルタとガンマトーンフィルタの組合せで近似する手法を提案し
た.ここでは,近似フィルタの係数が発見的に設定されていたため,その近似精
度を更に高められる可能性が残されていた.また,適合させたパラメータ空間が
比較的狭くて疎であることから,これを広くて密にした場合の近似精度を同程度
に抑えられるかを保証できなかった.本報告では,非対称性補償フィルタにおけ
る極/零点の位相の正負反転に対する制約を加味し,係数のパラメータ依存性を
再考することで,近似精度を高めることを考えた.その結果,先に提案した係数
の組合せによる場合の約半分の実効誤差で近似できることを示した.
キーワード: 聴覚フィルタ,ガンマトーン,ガンマチャープ,
IIR形非対称性補償フィルタ
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