子葉のヨウ素−でんぷん反応
「なんで,でんぷんにヨウ素液をかけると,青むらさき色になるんですか?」
この質問(疑問)で思わぬ実験結果の教科書記載との不一致?に展開した。
先ず,教科書に従って,問題提起から始まった。
観察 (ア)種子: 子葉が大きく,葉・茎・根になる部分は小さい
(イ)発芽後: 子葉はしわしわで小さく,葉,茎,根は大きい
変化をみると: 子葉→小さく 葉・茎・根→大きく
想像: 子葉にある養分を使って成長したのではないか。
想定外の質問: こんな質問が出た。「なんで,でんぷんにヨウ素液をかけると青むらさき色になるんですか?」
答える方も戸惑う所ですが,子どもらは真剣です。図を書いて説明します。
でんぷんがヨウ素液で青むらさき色になる理由
実験結果の予想: 子葉は種子の状態と発芽した後しわしわになった状態では,ヨウ素−でんぷん反応は違うだろう。発芽のために養分を子葉からとるので,発芽後の子葉はしわしわとなり,でんぷんがほとんどないと予想した。
実験の結果: どちらも断面は黒く(濃い青紫色)変わり,発芽前後で変化ないように見えた。このとき,デジタル教科書をみても大差ないように見えた。これらのことから発芽によってでんぷん量はあまり変化しないと結論を出す。
この結論は予想と異なり,教科書の結論とも違う。そこで「もっとしわしわになれば,黒くならないだろう。それには時間が足らなかった」と考察することになる。
この結論は早過ぎる。ここで,両方の子葉をよく観察しよう。
実験結果の観察: 写真に示されるように,右のしわしわの子葉は左の種子の子葉とは違っている。
(ア) 種子の子葉(中央と左にある): 断面全体が黒く見える。上側も黒くなっているが,葉・茎・根になる部分は色の変化がなくそのままである。
(イ) 発芽後の子葉(右側にある): 断面に黒い点々がみられる。上側が全く染まっていない。
観察から想像: 発芽後の子葉はでんぷんが残っている部分が点々にあるが,点々以外のところにはでんぷんがない。点々のところは何であろうか? おそらく小さな管が束(たば)になっていて,そこにはでんぷんがあると考えられる。種子の葉・茎・根になる部分にはでんぷんがない。大きくなるためにでんぷんが使われたためであろう。
同じ結果であるが,結論が逆になる。これは単に注意深い観察によるとは言い難い。というのは,時間をもう少しかければでんぷんは完全になくなる。実際,4週間後に調べた結果,子葉は小さくなって黄色に変わり,緑色はなくなっていた。この子葉は完全にでんぷんがなくなっていた。
対策: 予め,別にインゲンマメを発芽させて生育させておく。別途,後ほど発芽後の子葉を調べる。黄色くなった子葉を集めておいて,実験に使うことが考えられる。