アサガオの色変わり
特殊学級のこどもから鋭い質問を受けた。
よくあることですが,小学校の子供は興味があるものには観察力が鋭い。
「なんで,朝には青色だったアサガオの花が昼から薄い赤紫になるのですか」
6時55分 16時25分
この「なんで」には意味が深い。
1.なぜ,アサガオの花の色が変わるのか?
2.なぜ,朝の青色が昼からの薄赤紫色に時間が経つと代わるのか?
このような質問に答えるのは子どもの質問内容を理解しておく必要がある。
研究者という人が質問内容1と解釈して答えることがある。
そこで,子どもの知らないアントシアニン色素をとりあげ,
㏗の変化によって色が変わると説明する。
勿論,間違っていないが,子どもの方は,ちょっと不満げに,そんなものなのかという顔をする。
聞きたいのは質問内容2である
「なぜ,時間がたつと㏗が変わるのですか?」なのでしょう。
この問いに,真面に答えるのは難しい。
そこで,日本植物生理学会の「みんなのひろば」に書かれていることをみましょう。
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=113
アサガオの花は,「液胞」という細胞から成り立っています。
色素細胞は裏表の表面だけにあり,内側には透明な細胞だけです。
例えてみれば,サンドウィッチの薄いパンに色がついていて,中身は厚く透明になっています。
全体をけんび鏡(400倍)でみると,下の写真になります。
細胞の大きさは約40μmです。
(吉田久美さんの報告 https://www.brh.co.jp/publication/journal/016/ex_2.html)
細胞の勢いがあると,色素細胞内㏗だけが上がります。その結果,青色を示します。
しかし,勢いがなくなると,細胞の壁に穴があき,細胞全体の㏗が下がります。その結果,赤紫色になります。
朝は細胞の勢いがありますが,夕方には勢いがなくなります。
小学生に分かるように答えるのは難しいと思えますが,
酸性・アルカリ性やリトマス紙,BTBは6年生理科に出ています。
㏗を知らなくても酸性・アルカリ性と関係があると気づくでしょうね。
研究者という人が答えるには,小学校の教科書を予め読んで置くことが必要でしょう。
「細胞」は中学校の理科にでてきます。
しかし,生物と細胞は一体しています。けんび鏡で簡単に見ることができます。
その細胞が色の変化に関わっていることを知ると,
子どもの考える力をつけることができるでしょう。
2021.9.15 記