エナメル線って?

エナメル線という言葉は5年生の電磁石に登場する。

エナメル線をくぎなどの鉄しん(鉄心,鉄芯)にまいて電磁石をつくる。

これ自体,経験したり,分かっている者にとっては何の不思議もない。
しかし,エナメル線という線は普通の針金(はりがね)や銅線とちがうのか,
はじめての子どもには分からない。まして,「導線をまいてコイルをつくる」と
なると,導線とエナメル線はちがうのですか,と質問が出ます。
「導線の一つがエナメル線」とか「ここでいう導線はエネメル線のこと」という
答えはあいまいです。鉄線や銅線でもいいのでしょうか,ビニール線でも使えますか,
追い打ちをかけられると詳しく調べることになります。

エネメル線とは,銅線に絶縁の被膜を塗布してあるものです。
ところが,これを買おうと思うと,店員にポリウレタン線でいいのですね,と念を押される。
特殊なポリイミド線やポリエステル線などがあるからです。

エナメルという言葉は元々フランス語のエマイユ【email】から来ているとのことです。
七宝などの釉薬ですが,emailではe-mailと思い,今では混乱します。
勿論,英語ではenamelですから問題ありません。

ところが,コイルをつくるために「導線」を鉄しんにまくとなっています。
エナメル線の説明があってから,導線を使うなら抵抗が少ないのですが,
説明が後に出ています。導線⇔エナメル線という読み替えでしょう。
導線=被覆線なら正確ですが,被覆を使えません。
こんなところに教科書の記載には苦労があるのでしょう。

「導線を鉄しんにまいてコイルをつくる」

’導線でコイルをまく,コイルにまく’,といった言い方は正しくありません。
できあがったものがコイルですから,コイル「を,に」まく,というのは変です。
教科書には「導線をまく」となっていますので,正確です。

【エピローグ】
 エナメル線のエナメルをはがすために,紙やすりを使います。
これは被覆を取り除くためですが,熱でも被覆が融けます。
耐熱温度は120℃ですから,はんだ付けは,はがさなくても直接できます。

2019.2.21 作成