【問題の原因】
6年生の理科には,人間の器官の中で消化に関する実験があります。
消化の実験には人のだ液を使います。
しかし,感染防止のために,人体に関連した物を用いて子どもたちは実験できません。
【工夫】
せめて,類似した実験ができないかと考えたのが,
消化酵素アミラーゼを使った実験です。
勿論,アミラーゼは生物ではありません。感染することはありません。
【実験計画】
だ液の代りにアミラーゼを用いるだけですので,
普通の化学実験と同じです。
実験操作:
1.ご飯をガーゼに入れてお湯の中で揉み出す。
2.得られた揉み出し液3等分する。
A.揉み出し液だけ
B.揉み出し液 + アミラーゼ
C.水+アミラーゼ (後で,揉み出し液を加えてから,ヨウ素液で調べる)
3.約40℃のお湯の中で10分間,時々混ぜる。
【実験の注意点】
(ア) アミラーゼの代りに,三共胃腸薬(9錠虫150㎎)や太田胃散(9錠中40㎎)を
乳鉢でつぶして小さじ1杯分使う。
(イ) 温めながら,1~2分ごとに取り出して,試験管の液を振ってまぜる。
(ウ) Cの実験を行うのは,水の中のアミラーゼは温められただけで,
でんぷんを分解するはたらきがあるかどうか調べるためです。
【この実験の問題点】
なぜ,アミラーゼがだ液と同じようになるか,という点です。
in vitroの実験がin vivoの実験を反映しているといっても,
それは,頭の中で知っていることを反映しているだけです。
現実を重視する子どもたちにとって,この実験は知らないアミラーゼの実験,
と映ってしまいます。
【演示実験かビデオ】
そこで,先生の演示実験を見せるか,ビデオで示すことを
並行することが考えられます。
演示実験はある程度危険を伴います。大切なのは安全性ですので,
密閉した実験系をつくることです。廃棄用ビニール袋,ゴム栓で試験管密閉,
手術用手袋を使う,消毒用のアルコールスプレー,その他,換気と子どもたちとの距離保持,
などあります。
これらの困難性を考えると予め制作したビデオを使う方が,
だ液を使う実験では安全ですね。ただ,アミラーゼの実験を見せるか行わせると,
関連性がとれるので,意味も出てきます。
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2020.7.17 作成