こまごめピペット

こまごめピペットは大学の研究室においてもよく使われるピペットの一つです。
ところが,東京の駒込と関係があるのか,英語でもKomagomeという名前が使われている。
これは日本だけのものでないことに驚きます。

考え出したのは伝染病の医者であった二木謙三(ふたきけんぞう 1873年 - 1966年)です。
駒込病院に勤務していた時に,細菌を取り扱う際にピペットが必要となり,
業者に作らせたピペットです。ピペット中程より上部に膨らみがあります。

直管式のパスツールピペットより使いやすいのは,少し吸い上げても
膨らみのところで液が止まるためです。
正確ではありませんが,目盛りは容量の目安になります。

使い方:

  1. 先端にゴムの乳首(ボール)をつけて吸い上げますが,
    決して横に向けたり,先を上げたりしないことです。
    液が乳首に入って来るためです。
  2. 持ち方は中指~小指の3本で乳首近くのガラス管部をにぎり,
    開いた人差し指と親指で乳首の握り具合を調節します。

大切な部分: 先端部分です。
 先端部が破損すると,他のガラス容器や器具を傷つけ易くなり,
 怪我をするだけでなく,容量も変わります。
 壊れやすい原因はガラス細工の仕方によるのですが,
 どうしても先端を引き延ばすときに肉厚が薄くなるためです。
 保管には,手製のピペット立て(写真)を利用されています。

エピローグ:

 二木謙三はなぜ名前に自分の名前を付けなかったか?
これは彼の性格と言われています。彼の勤めていた病院の頭の二文字をとったのです。
何かといえば自分を前面に出そうとする世俗にあって,控え目にするところが対照的です。