鉄と銅

金属のあたたまり方の実験に銅製品を用いる。

たとえば,棒のあたたまり方に銅の棒を,板には銅板を用いる。

ところが,金属ならあたたまり方が同じと思って,鉄の棒を代用することがある。
これは,不適切です。
というのは,鉄の熱伝導率は67 W/mK, 0.5Cの炭素鋼では53 W/mKであり,
ステンレスの18Cr8Niに至っては16 W/mKであって,銅の372 W/mKと比して,
1/5~1/20の熱の伝わり易さを示す。つまり,ステンレスの棒を使うと,
サーモテープが熱によって変わるのに,20倍も時間がかかることになります。

実験器具の中に,このような鉄の棒を使っている小学校があるのに,
驚きますが,これは昔,膨張率の実験に,鉄の棒を使っていたのだろうと
想像します。後の人が処分する代わりに代用したと考えられます。

また,鉄棒と銅棒は一見似ています。しかし,よく見ると違いが分かります。


上二つは銅棒,下は鉄棒です。


左が銅棒,右が鉄棒です。

区別が難しい時には,磁石を使います。

 

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2019.2.21 作成