豆球・モーターのつなぎ方

乾電池1個に豆球やモーターをつなぐと,点灯したりモーターが回る。
この当たり前のことが一緒になると複雑になる。

少し勉強や友達についていくことが難しい子が理科室に来た。
理科に興味があるらしい。

その子は,実験準備していたモーターに興味を示した。
「この実験,やったことあるね」と水を注いだ。
すると,豆球やモーターを乾電池に接続して作動することを示していた。
「それじゃ,両方ともつないだらどうなるか」と聞いた。

そこで,実験準備をした。豆球には,LED豆球,
モーターには,キットで余ったモーターを使った。
回路は下図の通り。

 

結果: モーターは回らないが,豆球は点灯した。電流が流れていることは検流計によって確かめた。

【質問】: なぜ,電流が流れているのに,モーターがまわらないのか。

その子の説明: 電流は流れているが,豆球に力をとられモーターを回す力がなくなったと思う。

【質問】: では,並列につなぎをした。そのときモーターまで回ったのはなぜか。

その子の説明: 豆球とモーターが別々なので,力がとられないので豆球は点灯し,モーターは回る。

【コメント】
ここには,常識とは違う点がある。モーターを回すには電流が必要と思われるが,
豆球を点灯するには電圧が必要と考えられる。結果は違い,単純ではない。
勿論,LEDでなく,通常の豆球で確かめても結果は同じであった。
ところが,その子は難なく説明した。説明は感覚的であるのは仕方ない。

これを解釈するには,RL直列回路の過渡現象を捉えると分かりやすい。
詳しくは微分方程式を解くことになるが,感覚的には重いものと軽いものを手で押すことに似ている。
すなわち,初めに電流を流すと,豆球の抵抗は大きく電圧は小さい。
モーターのコイルは抵抗がないのでそのままの電圧がかかる。
しかし,時間がたつと豆球の抵抗には電圧がかかり,モーターのコイルには電圧がなくなる。
正に,その子が言った「豆球に力が取られる」になる。

2017.6.9 記