[応用問題]
直角をはさむ長辺18㎝,短辺12㎝の直角三角形を紙で切りとります。
長辺の直角から6㎝のところに長辺に垂直に線を引き,線上ですが,
斜辺の交点近くに小さな穴を開けてひもでつるします。
そうすると直角をはさむ長辺を水平にすることができます。
やり方は下図を見てつくってください。
一体,なぜつりあって水平になるのでしょうか。
理由は,つるしたひもの線が直角三角形の重心を通るからです。
直角三角形の一つの頂点を通って直角三角形の紙の重さが等しくなるように鉛筆で支えます。
ちょうどつり合ったときに,鉛筆の直線を別の鉛筆で直角三角形の紙に書きます。
次に,別の頂点を選びます。同じように,つり合った鉛筆の直線を書きます。
すると2本の直線が交わりますね。
それが重心です。
重心を通って,どの方向でも鉛筆を支えにして直角三角形の紙をつり合うことができます。
さて,元にもどってみてください。長辺に垂直な線を引きましたが,それが重心を通っているのです。
ということは,この直角三角形は長辺がバランスをとったてんびんになっているということです。
[問題] それでは,次にこの直角三角形の左の台形と右の直角三角形とでは面積にちがいがあるのでしょうか。
小さな直角三角形の短辺の長さ(図の点線の長さ)が分かれば,簡単に計算できます。
大きな直角三角形の長辺は18㎝であり,小さな直角三角形の長辺は12㎝です。
小さな直角三角形の長さは大きな直角三角形の長さの12/18倍,2/3になっています。
小さな直角三角形の短辺も大きな直角三角形の2/3倍になっているはずです。
大きな直角三角形の短辺は12㎝ですから,小さな直角三角形の短辺は12㎝×2/3 = 8㎝のはずです。
大きな直角三角形の面積は12*18/2=108㎠です。
それに対して小さな直角三角形の面積は12×8/2=48㎠です。
台形の面積は108-48=60㎠です。
台形の面積は小さな直角三角形より,60/48=1.25倍大きいことになります。
紙について,厚さが同じなので,面積は重さと同じです。
直角三角形を長辺に垂直であり,重心を通る斜辺近くの点でつると,直角をはさむ長辺が水平になります。
けれども,台形の重さは小さな直角三角形の重さより大きい。
てんびんのように見えますが,左右で重さがちがうことになります。
なぜちがいがでるのか。
答えは簡単なことです。
支点から,台形の重心までの長さと,支点から小さな直角三角形の重心までの長さがちがうからです。
どれほどちがうのかくわしく計算することはむずかしいですが,簡単な実験でわかります。
大きな直角三角形の点線ではさみできります。
切った台形について,切り線の点線に平行になるように,鉛筆で支えてバランスをとります。
支えた鉛筆の直線を書く。同じように,小さな直角三角形について,切った線の点線に平行となるように鉛筆で支えます。
バランスをとってから鉛筆の直線を書きます。両方の鉛筆の直線のうち点線までの長さをくらべます。結果を見てください。
台形の鉛筆直線の方が,小さな直角三角形の鉛筆直線よりも短いと分かります。
てこのきまりからつりあっているとき,支点までの長さが短い方が重いでしたね。
したがって,台形の方が重いといえます。
2018年1月27日 作成