ゴム栓の穴開け
大学の化学実験でゴム栓を使うことはほとんどない。
ガラス器具のジョイント部分は摺合せになっているためです。
従って,学生ですらゴム栓の穴開けについて知らないのが普通です。
ところが,ゴム栓は少々ジョイント部分がずれても,調整するのが簡単です。
また,安価であることも利点です。ゴム栓が,使用する溶媒に溶けなければ,
化学実験装置のジョイントには好都合である。
小学校での化学実験でゴム栓を使うことは頻度が多い。
そこで,準備のため,ゴム栓に穴を開ける必要がある。
昔からある小学校には,機械的に穴を開ける装置があることが分かった。
その装置は下の写真のようなものです。
使い方はゴム栓をボーラ―の前後にある「への字」型のホルダーに挟み固定して,
上部のハンドルを回すとボーラ―が回転しながら下がって,穴を開けるようになっている。
セットアップをすれば,簡単に誰でも穴を開けることができる。
この装置は「取付型コルクボーラ―」といい,定価58,000.-です。
通常の「コルクボーラ―」は定価2,200.-ですから,値段の割に利点が比例しないかもしれません。
というのは,取付型を使っても開いた穴はドリルで開けた穴ほどにはなりません。
そこで,普通のコルクボーラ―で穴を開ける方法をお伝えします。
① まず,ガラス管と同じ径のボーラ―を選びます。
② ゴム栓の底面積が小さい方にできるだけ円の中心になるように,
ボーラ―を回しながら穴開けを進めます。
③ 半分ほど進めた時に,ボーラ―を抜いて,広い方の円の中心になるように,
ボーラ―を合わせて回しながら穴開けを進めます。
④ 中央で二つの穴が一つになりますが,少々ずれてもボーラ―を貫通させれば,
穴開けは成功です。
この方法は一方方向から開けるよりも精度がよく中心に穴開けができます。
多分,中央で段差が出て,上手くいかないかと心配されますが,
段差が出ても貫通を確かめるときに修正されます。心配ありません。
例えば,空気の体積と温度(4年生)の実験では,
ゴム栓(2号)付ガラス管(6 mm)を試験管(18φmm×180 mm)に付ける場合に穴開きゴム栓が必要です。
なお,通常のコルクボーラ―でゴム栓に穴を開けた例を示します。
ボーラ―に釘のようなピンがあるのは残っているゴム栓のカスを押し出すものです。
失わないようにします。
【注意】 穴の開いたゴム栓にガラス管を差し込むときに注意があります。
穴が小さいためガラス管を差し込むのに力を入れることがあります。
これは大変危険です。
水をつけて回すように入れ込めればいいのですが,
それでも入り難いときには,石鹸を薄くガラス管に塗り,回しながら入れると挿入できるはずです。
それでも入らないときには,そのゴム栓に,もう一度大きめの穴開けをやり直した方がよいでしょう。
2017/10/25 初版作成