てこのはたらき
6年生の理科において,
てこの作用を調べる実験ではモーメントが出てくる。
言葉として,モーメントは出て来ないが,てこのつり合いやてんびんのところに
数式として書かれている。
[重り]×[支点までの距離] は左右で等しいときにはつり合う。
言いかえれば,左右のモーメントが等しいときにはつり合う。
ところが,左右のモーメントの合計が合えば,つり合う。
すなわち,
左のモーメントの合計 = 右のモーメントの合計
【エピソード】
これは,中学以上の理科や物理であると思える。
しかし,こんなことが起こった。
日頃,理科の時間に立って歩いたり,他の子どもに声をかけたり,
ある時には,文房具を投げたりしたことがある子がいた。
どういうわけか知らないが,てんびんの実験が気に入ったらしく,
分銅をぶらさげて,遊んでいた。騒ぐよりは良いかと思い放っておいた。
「左の6のところに20gをぶらさげて,右のところに何gをぶら下げるとつり合うか?」
という問題が出された。例によって,その子は重りで遊ぶだろうと思っていたら,
急に,「先生,先生,できた!」と呼びかけてきた。
見てみるとちゃんとつり合っている。「すごいね。誰が考えたの?」
「僕です」「そりゃ,凄い。違ったバージョンを考えてみようか」
「これでも,できました」 「じゃ,左30gの場合はできるかなぁ」
「そんなの簡単」といって,計算を始めました。
「30×6=180だから‥‥‥。はい,できました」
「こりゃ,天才だ」というと,みんなが集まってきました。
すると,手で覆って,「見るな!」と隠しました。
「そうだ,発見者の宝物だよ。自分で考えたのだから」というと
皆,考え出しました。分からない子は聞きにその子のところへ来ました。
理科というのはこんなことが起こるのですね。
つまり,具体例 ⇒ 一般則 ⇒ 確認実験 というわけです。
これは,塾で学ぶことではありません。公式を知って使うのでもありません。
皆にとって幸せな理科でした。
2017.12.17 記