花粉採取とプレパラート作製
ヘチマやアサガオの花粉をけんび鏡で観察する単元が始まります。
ヘチマは4年生が種子から育てました。アサガオは1,2年生で育てました。
8月になると両方とも花が咲き,実や種子もできます。
ヘチマのおしべ,アサガオのおしべにある花粉をとって,
5年生では,けんび鏡でヘチマやアサガオの花粉を観察します。
花粉採取
花粉を採取するためにおばなを切って,おしべをセロテープに押し付けるとされています。
けんび鏡は2人に1台とすると,1クラスで15-20個のヘチマやアサガオが要ることになります。
花の数を減らして一つの花で花粉をとりますと,
最初の人がたくさんの花粉を取り,2番目以降の人は取るのが難しくなります。
このため,畑に咲いているヘチマのおしべに直接セロテープを使って花粉採取する方法が有効です。
その方法は簡単です。まず,ひっつくところ(粘着面)を外側に人差し指と親指で「コの字」をつくります。
このとき,花粉をつけようとしている所を指でさわらないようにします。
おしべにセロテープのつく面を1回だけ軽くふれます。
何回もつけないようにします。
1回採取のやり方をすると一つの花で10回は採取できます。
なお,セロテープのはしを花びらにさわらないことも大切です。
プレパラートのつくり方
採取した花粉のついたセロテープをスライドガラスにはりつけますが,
テープをスライドガラスの長い方に合わせてはります。
このとき,花粉部分を指で押さないようにします。特にアサガオの花粉の場合には。
このとき,余ったセロテープのはしははさみで切るなどして,
余ったセロテープがステージにはりついたり,
折り込みなどによってステージとスライドガラスの間にすき間ができないようにします。
セロテープをカバーガラスの代わりに使う欠点
セロテープに花粉をつける方法は作業が単純で危険が少なく扱いやすいのですが,
欠点もあります。ほとんど高倍率で起こります。
欠点1: 400倍の高倍率にすると接着部分の不均一によってすじがでてきます。
欠点2: 高倍率ではセロテープの不透明性がでて,コントラスト(明暗差)がとれない。
欠点3: プレパラートが部分的に凹凸ができ,フォーカスを合わしにくい。
教科書にある顕微鏡写真との違い
これは実際,子供たちからの質問にありました。
「自分たちが見たアサガオの花粉には色がついていませんが,
教科書の写真にはうすい茶色についています。なぜですか。」
「アサガオの花粉の写真でははしにヒゲがあるが,内側には小さな「つぶ」がありません。
自分が観察したものには「つぶ」がたくさんありました。なぜですか。」
確かに,子供たちの観察したような色の無い,つぶつぶがあるアサガオがいつも観えました。
教科書の写真は,けんび鏡写真でしょうか。それとも修正や色付けなど加工されたものでしょうか。
結論は出せませんが,教科書の写真と違っていると言う事に対して,
ここでは子供たち(現場の先生を含めて)の観察の方を優先した。
子どもたちが顕微鏡で観察した,アサガオの花粉とヘチマの花粉 (400倍)
教科書の写真? (200倍)
ちょっと便利な後始末
スライドガラスを使用した後,カバーガラスやセロテープを取り外し,
水洗いをします。水洗いしたスライドガラスを重ねると,離しにくくなってしまいます。
そこで,1枚ずつ綺麗な入れ物の中にならべて置いたりします。
ところが,面積をくうので,もっとコンパクトにできないか,誰しも考えます。
そのために,スライドガラス立てが市販されています。ただ,値段が¥700ほどですので,
スライドガラスより100枚より高価です。20枚立てることができますが,
通常,30枚以上使うので,2つ要りそうです。これを使うと,
洗って立てかければいいのですから,便利で,綺麗に乾燥できます。
その他関連した便利なもの
・プラスチック製カバーガラスの代替にコンビニ弁当のふた(蓋)
・シャーレの代わりに時計皿
・シャーレの代わりにホールスライドガラス(くぼみがあるスライドガラス)
・カバーガラスの洗浄に眼鏡洗いの超音波洗浄機
2018.9.15 更新