古来日本語は句読点「、。」で止めるものである.実際また日本語は本来縦 書きであり,したがって縦書きの文章は句読点を用いるべきである.ところ が,理科系の論文のように横書きだとコンマ・ピリオド「,.」の方が勝手 がよい.理由の第一は英字や数式が入り込むことであり,それらは「,.」 で止めるべきものであるからである.
ところで「,.」にも2バイト文字がある.そう言えば ( )も!も?も@も,そして英数字すらもJISの「漢字」がある. なぜ半角・全角の両方が必要なんだかよくわからないが,日本語の中では全 角のものの方が見栄えがいいというのならそこは譲ろう. しかし英数字の中では半角のものを使うべきである. 一つの英数字列の中に全角・半角が混在するというのは道断である. ところで混在と言えば,「,。」の組み合わせや「、.」の組み合 わせを許せるか? 日経サイエンス誌は前者の組み合わせである.でもこん な混在用法はやめようや.
これらはもちろんすべて半角 (1バイト) 英数字での話. タイプライター時代からの大事な伝統である.これはいまも守られるべきで ある. タイプライター時代にはピリオドの後にはブランク2個と言われたもんだ. とにかく半角のコンマの後にすぐ次の文字が来た日には見ていて狭苦しいっ たらありゃしない.ついでに言うと半角の ( ) を使う時はその前後にも半 角スペースを空けよう.もっと言うと,一つの文書の中で全角から半角に切 り替わるとき,半角から全角に切り替わるときは半角スペースを空けよう.
よく見るまでもなく,
クォート開始は一般にはキーボード上のバッククォートキーを使うが, マイクロソフト社 Word では通常のクォートキーを使ってもクォート開始だ とちゃんと後ろを向いてくれる.便利なんだか不便なんだか.Mule の TeX モードでダブルクォート開始はバッククォートを2回打つが,今度は " もご 丁寧に ''(クォート2回) に分解してくれる.
クォートとダブルクォートの使い分けは? 原則はダブルクォート ``...'' であり,その中でさらに引用があるときは
シングルクォートもダブルクォートも,最後のコンマやピリオドは中に取り 込むのが原則.
英文の中でクォートを強調のために使うことがある.これももちろん正当な 使い方ではあるが,クォートはクォートというくらいだから引用に使うこと にして,文書整形なんでもできる今,強調にはイタリック (斜文字) を使お う.英文で強調にボールドフェース (太文字) を使うのはやり過ぎの感あ り.しかし和文ではイタリックがないのでボールドフェースがいいと思う. 以前より下線を引くという作法もあるが,下線はやはり字体が自由にいじれ なかった時代の名残りではないだろうか. ついでに言うと,文献リストの中では雑誌名・書名はイタリックにする ように.
引用の話ついでに.日本語の中で日本語を引 用するときは「このように」角かっこを使うべきであり,``こんなこと''は やめよう.英文を参照するときは間違っても「xxx」なんてしないじゃ ないか.
数式の中で記号の右肩にちょんとつけて微分だのを表わす記号.これはキー ボードからクォートで入力するが,LaTeX なんかだと通常のおたまじゃくし 形 ' ではなく,ちゃんと違うフォント (細長い台 形) に表示してくれるはず.区別すべき記号なのである.数式の中で微分の つもりでf ' (x)などと書いてはいけない.このままだとア ポストロフィ? クォート閉じ?
さて数式の中の ' はよく「ダッシュ」と読む人がいるが,英語の dash は横棒であり,- こんな風に使うやつ - である.ハイフンよりは長め の横棒である.英語では数式中の ' は prime (プライム)なので間 違いなきよう.セミコロンは,一つの文の中で接続詞以外で節どうしを結ぶとき,あるい は hence, therefore, however などに先行して用いられる.要はコンマより 強く区切り,ピリオドより弱く区切る接続である. だから原則
その昔 LaTeX が流布し始めたころ,図や表の環境を作ると図番号・表番号 の後に`:'(コロン) がつくというので話題になった.こんなスタイルはない.
図表は図表番号のあとスペースを空けてキャプションを書く. ただし,図番号・図キャプションは図そのものの下中央に.表番号・表キャ プションは表そのものの上の中央に配するべし. これは LaTeX なら自動的にやってくれる.
論文中の参考文献の書き方はこちらを参照のこと.