Research topics

我々の体の動きは、自然かつ滑らかであり、あるときは優雅さを、またあるときは荒々しさを暗黙のうちに示す。社会的な状況下において、こうした身体動作に埋め込まれた感情、意図、状況などを読み取り、また表現する事は、他者との非言語的なコミュニケーションの基盤となっている。こうした身体動作に内在する状況性の認知が容易く行われる一方、その生成・認識の計算論的メカニズムには解明すべき点が多い。 身体動作は本質的に多自由度の筋骨格系の時間変化として記述でき、一般に1つの目標運動(端点)に対し、それを実現する身体座標が無数に存在する冗長な系である。従って、Berstein (1967)の問題提起以降、目標運動を一意に生成するために、身体自由度の制約に関して多くの研究が進められてきた。従って、先行研究では身体動作に内在する状況性は、動作の種類により異なると考えられ、個別動作に関するヒューリスティックスによりモデル化されてきた。本研究では、複数の状況性(喜び、怒り、悲しみ、中立の情動的文脈)における数種の動作を情報理論的手法に基づき解析した。その結果、身体動作の状況性を反映した動作の種類に不変な特徴量がある事が明らかになった。これは、身体自由度は単なる冗長性ではなく、社会的な認知の情報チャンネルを提供している可能性を示している。


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