私は実験屋なので,いろいろな実験装置を組み上げていくことが 多々あります。試料からの信号電圧を測定する時に問題になるのが,『ノイズ』 です。本来変動して欲しくない電圧が,時間に対して,こんなふうに 変動してしまうのです。
<図1>
ノイズは大抵電源ラインから入ってくるので,ほとんどが 60 Hz(東側では 50 Hz)の周波数成分を持っていますが,もっと詳しく知るためには, 『どの周波数成分が,どれくらい入っているか』を調べなければいけません。 この図(横軸は時間)ではよくわかりませんね。
実は上の例には,このような3つの成分が入っています。
<図2>
ごまかしたようで悪いのですが,これが『フーリエ変換』です。<図1>
をフーリエ変換した結果が<図2>です。時間に対して変化する関数を,
周波数に対する関数に変換することによって,その振舞いが
把握しやすくなっています。
ある関数を多くの周波数成分の重ね合わせと考え,それぞれの
周波数成分の大きさを周波数に対してプロットしたものが,『フーリエ変換』
というものです。今の例では,フーリエ変換の結果が離散的になりましたが,
一般には連続的な関数になります。
フーリエ変換は,固体物理学のいろいろな部分で使用されます。