ルートビアという、アメリカではポピュラーな飲物がある。 子供の頃よく読んでいた漫画「ピーナツ」の中で、スヌーピーがウッドストックの家(ていうか巣)のパーティーに行くたびにガブ飲みするのがルートビア。「ゆうべは54本飲んじゃったよ」などと独白するシーンを見て、スヌーピーがそれほどまでに愛飲するルートビアとはどんな美味な飲物だろうと憧れていた。日本ではほとんど売られていないので、いままで口に入る機会がなかったのだ。 この飲物について断片的に知っていたことといえば (1) アルコールは入っていない (2) 薬くさい ということだけ。 今回、たまたまデザートタイムに出されたので念願かなって初挑戦した。 炭酸飲料である。今回のものはコーラなどと同様、350ml(単位は違ったかもしれないがそんな大きさ)の缶に入っていて、よく冷えている。プルトップを開けたときに漂ってくる香りもコーラに近い。口に含んでみる。 なるほど、薬臭いな。美味というほどでもないが、独特の芳香があって、ハマる人はハマるかもしれない。でも一晩で54本はさすがにちょっとねぇ。 だけど何かに似てるぞ。過去に自分が味わったことがあるナニカと非常に近い味だ。なんだったかな。うーん…。 約10分間考えて、突然わかった。 ああっ、改源だっ! 改源だっ! 風邪を引いたときにいつも飲んでいる「改源」と同じ味がする! そりゃ薬臭いハズだわ。こんなところで漢方薬の味が味わえるとは思わなかった。アメリカで風邪を引いたら、ルートビアを飲むと効くかもしれない(←でたらめ)。 しかし米国ではこれがコーラやジンジャーエールと並んでコンビニの自動販売機に入っていたりして、極めて日常的に飲まれているようだ。コカコーラも最初は薬として発売されたという。ドクターペッパーって奴(懐かしいっしょ)もかなり薬臭かった。アメリカ人にとって炭酸飲料とは薬なのだろうか? ルートビアというからには根っ子が原料なんだろうね。漢方薬もよく木や草の根を使うから、改源と同じ味なのも原料が近いためであろう。 根っ子系飲物というジャンル分けがあるかどうか知らないが、考えてみれば根っ子が原料の飲物は世界各地にある。高麗人参茶もそうだ。養命酒もそうだ。養命酒は虚弱体質の人が飲む薬だと思われがちだが、一般の酒として飲んでも味わい深くて結構イケる。根っ子系飲物はワタシ的には注目株だ。(根っ子だけに注目”株”、なんてね) スヌーピーのあの小さな犬小屋の中に子供が何十人も入って遊ぶことができる、という不思議なエピソードが初期の「ピーナツ」にあった。もしかしたらパーティーでルートビア54本飲み、ピザ30枚食べてしまう彼の胃も、小屋と同じように4次元空間なのかも。(00.10.29) |