一昔前、イギリスにケンブリッジバスカーズというストリートミュージシャンの2人組がいました。 リコーダーとアコーディオンのシンプルな編成のコンビで、日本でもTVなどでお馴染みでしたが、彼らのすごいところは、この簡単な楽器でクラシックのありとあらゆる名曲を奏でてしまうことでした。 曲の3大要素はメロディー、コード、リズム。 彼らの場合はリコーダーがメロディー、アコーディオンがコードとリズムを担当していました。 オーケストラ用の曲でも、この3要素さえ手に入れれば、簡単な楽器で驚くほど雰囲気を再現できることを、彼らの演奏は教えてくれました。 言い換えると、自分の好きな曲を耳コピすれば、自分で(雰囲気くらいは)弾いて楽しめるわけです。 3要素の中で、採音に最も苦労するのがコードですね。それだけに1曲のコードをつけ終えた時の達成感はひとしおです。 音の枝葉を極力そぎ落したエッセンスがコード。 ラベルの「ボレロ」もGLAYの「However」も、最初の1小節のコードは「C」です。 豪華ケンランな音に彩られたオーケストラ曲が、シンプルなコードネームで記述できてしまう心地よさ。これが耳コピの醍醐味なんですね。 複雑な自然現象をシンプルな法則や方程式で記述する、物理学の醍醐味と非常に似ています。 コードがわかったら弾いてみましょう。メロディーは鼻歌でもOK。リズムに工夫をこらしたり、時にはコードにない音を加えたりして、どれだけ曲のイメージを原曲に近付けられるか。きっと聴く時とは違った充実感があるはずです。 オーケストラ曲をオーケストラだけのものにしておくのはもったいない。耳コピは個人でオーケストラ気分を味わえる最短コースなのです。 |