第7回知識科学シンポジウム

―知識科学と新教育コース―

主催:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)知識科学研究科

日時:2005年3月19日(土)10:00-16:35

協賛:IEEE EMS (Engineering Management Society) Japan Chapter

           日本創造学会

場所:学術総合センター中会議室

http://www.nii.ac.jp/map/hitotsubashi-j.html

定員:150名

内容: 知識科学的接近による既設MOTコース,新設の統合科学技術コース,知識メディア創造教育コースの全体像,およびこれらのトピックに関連の研究者からも話題提供をしていただく.なお知識科学研究科,知識科学教育研究センター,科学技術開発戦略センターの紹介・デモもありますので,ふるってご参画ください.

参加費:無料

問合せ先: 金井秀明 hideaki@jaist.ac.jp

9:30-10:00 受付オープン

司会(午前): 西本一志

10:00-10:40 知識科学から統合科学技術コース構想に:

中森義輝(JAIST知識科学研究科長)

概要:近年文理融合や学際研究の理念に基づく研究テーマの設定や推進が活性化している.現在本学21世紀COEプログラム「知識科学に基づく科学技術の創造と実践」においても,分野を横断し新たな科学技術の創造に寄与する人材(知のクリエータ・知のコーディネータ)の育成が急務であるという見解が得られている.それらの背景を踏まえ,「複数の学問分野や組織間の壁を越えて対話を行い,知識共有を進めるためのスキル」,及びそれら知識を取り扱う上でそのベースとなる「ものごとを論理的に考え,自分から問題を発見し,その本質的テーマを課題化できる能力」等を養成する新しい教育コースの構想を紹介する.


10:40-11:20 知識科学におけるCOEの試み

―『社会のための科学』の実践の場として:

小林俊哉(JAIST科学技術開発戦略センター助教授)

概要:平成16年の科学技術白書において「社会のための科学」なる概念が提示された.奇しくもその白書公表の前年に本学知識科学研究科と材料科学研究科の協働によるCOE事業がスタートした.本COE事業の試みの「社会の次元」における知識創造の実践が包含されていたのである.本COE事業は今後いかに「社会のための科学」の要請に応えていくかを,COE事業の紹介を踏まえて明らかにいたします.

11:20―12:00 東京MOTコースの試み -- 構想,実践,そして新展開 --

井川康夫 (JAIST知識科学研究科教授)

概要:我が国産業の国際競争力強化のためには技術経営能力の向上が重要で,人材育成プログラムの充実が課題である.JAISTでは2003年10月に「技術のわかる経営者,経営のわかる技術者」の養成を目的に社会人を対象とした技術経営(MOT)コースを東京駅八重洲口キャンパスに開設した.1年半経過した現在,修士課程,博士課程学生合わせて約50名が幅広い業種から集まり日々白熱した議論を展開している.本講演では,コース構想から現在までの経緯を述べ,更に来年度には発足以来の特徴である内容の深さとともに30以上の科目を提供することで幅の広さも充実させるという展開を紹介,イノベーション創出につながる技術経営人材育成を目指す東京MOTコースを概観する.

12:00―13:30 昼食+展示会(90分)

司会(午後): 國藤 進

13:30―14:10 知識メディア創造教育コース構想について:

宮田一乗(JAIST知識科学教育研究センター長)

概要:知識科学教育研究センターが平成17年4月から新たに開講する知識メディア創造教育コースを概観する.本コースでは,21世紀をサバイバルするための知識創造,メディア創造に関する方法論,技法,技術およびノウハウを修得し,企業・研究所等の即戦力となる優秀な人材の輩出を目的としている.

14:10-14:50 E-ナイチンゲール・プロジェクト: 日常行動・状況理解に基づく知識共有システムの構築に向けて

小暮 潔(ATR知能ロボティクス研究所知識創造研究室長)

 概要:E-ナイチンゲール・プロジェクトでは,医療看護分野を題材とし,日常業務を阻害しない小型装着型センサや環境設置型センサにより,これまで見過ごされてきた業務中の日常行動やその周囲状況を理解し,これに基づき業務に有用な知識を構築し,構築した知識を必要とする関係者に提供するシステムを構築するための技術を開発している.本講演では,このプロジェクトを紹介する.

14:50-15:10 コーヒーブレイク

15:10-15:50 体験型知育メディアとその応用

苗村昌秀(ATRメディア情報科学研究所主幹研究員)

概要:デジタル放送,DVD,インターネットなどのインタラクティブメディアを利用した,教育,学習が注目を浴びて いる.本講演では,学習の対象として芸術分野に焦点を絞り,教師と学習者のインタラクティブメディアを介した協調作業を可能にする体験型知育メディアについて紹介する.この体験型知育メディアでは,教師の専門的技能をわかりやすく学習者に伝達する仕組みを感性処理とメディア処理で解析し,学習者が満足して 学べる環境を構築する.

招待講演:

15:50-16:30 グローバルデザインを支援する知識メディア:

田浦俊春(神戸大学大学院自然科学研究科教授),

野口尚孝(JAIST知識科学研究科教授), 永井由佳里(同助教授)

概要:製造の効率化・高品質化がある程度まで達成された現在,モノづくりの競争力は,いわゆる創造的な設計(デザイン)をいかにグローバルに行えるかにかかっているといっても過言ではない.本発表では,グローバルデザインを可能にする質の高いコミュニケ-ションの要件を明らかにする.とくに,設計者の意図に関する知識のモデリング・処理方法や創造的な設計(デザイン)を支援するための方法について,その基本的考え方を述べる.また,グローバルデザインによる知識創造を実現化するシステムとして,設計知識の獲得・蓄積・伝達をひとつのシステムで行なうことのできる知識メディアの概要を紹介する.

16:30-16:35 閉会の挨拶

國藤 進(JAIST知識科学研究科教授)