世界に先駆けて北陸先端科学技術大学に設立された知識科学研究科の理念と今後の展開、 および21世紀COEプログラム「知識科学に基づく科学技術の創造と実践」における拠点形成 計画を紹介する。特に、自然科学の知と社会科学の知を対峙・融合させ、新たな知を創造 するための方法論、「知のコーディネータ」と「知のクリエータ」の育成計画について報 告する。
地球上の多様な生物は、様々な環境に適応して必死に生きています。我々人間もまた、育 った環境や人間関係で、同じ遺伝的背景でありながらも大きくその行動や物の考え方が変 化しています。若い世代と中高年との考え方の違いを例題として、自我の確立、そしてそ の過程における「絶対的価値観」について考えてみたいと思います。さらに価値観の対立 や融合を通しての自我確立のプロセスと、新しい学問領域が生まれる創造的研究のプロセ スの類似点について言及したい。
“科学技術で社会に貢献する”を社是とする島津製作所は、創業者島津源蔵の精神を受継 ぎ科学計測技術を主たる業務として発展してきた。機器分析の歴史は浅く1960年代戦 後の復興を推進した基幹産業の要求を達成するため産官学の連携によって今日の基盤が構 築されたといえる。科学技術の発展に伴い完成された機器を購入することで研究が促進さ れた20世紀後半から、大学・政府機関研究所での先端計測機器開発への流れが途絶え、 結果として新規分野での研究がある問題に直面している。計測技術を業とする企業が歩ん だ企業内努力の一端をご紹介する。
知識の爆発的増大とそれに伴う領域の細分化によって、全体像を把握することが困難な時 代が到来した。例えば、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、情報技術など先端技術 の実像を把握することは困難を極める。克服の鍵は、知識の構造化であることを提案した い。領域知識間の関係を記述する方法を開発し、情報技術者と領域研究者との協働によっ て、新たな知識基盤の構築を行う必要がある。
企業における知識活用の現状の課題について整理し、知識活用を支援するシステ ムの要件を説明する。ジャストシステムが提供する知識創造プラットフォーム GrowViionを紹介するとともに、企業においてITシステムと知識創造をになうナ レッジワーカーをつなぐ知のコーディネーターの重要性を述べる。
コンサルティングはクライアント現場での課題解決である。弊社の技術マネジメントには 伝統的な考え方があり、 管理技術と調査技術に分けた理解をしている。特徴的なのが調査 技術であり、コンサルタントの技術、知識、経験を適用し、具体的な成果を実現するプロ セス技術である。今回は、現場の改革・改善推進において新たな知を創出しながら、自ら の技術力を高める弊社の技術マネジメントについて概要を紹介する。
研究開発の効率化について、ブレークスルーマネジメントからのアプローチを行っている 。「知恵を集めよ」とよく言われるが、実際はこれがなかなか難しい。コンサルティング の現場では、革新への挑戦が新たな知を創造することが多い。知的生産性向上の「課題ば らし」手法の実践例を紹介しながら、その知創造のメカニズムについて考察する。