地域おこし協力隊を考える


 「地域おこし協力隊」。この耳慣れない言葉が近年存在感を増してきている。制度を創設した総務省の資料によれば、地域おこし協力隊は、「都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を移動し、生活の拠点を移した者を、地方公共団体が『地域おこし協力隊員』として委嘱する。隊員は、一定期間、地域に居住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこしの支援や、農林水産業への従事、住民の生活支援などの『地域協力活動』を行いながら、その地域への定住・定着をはかる取組」とされている。国が地方創生を大きく進めようとしているなかで、柱の一つが都市部から地方への新しい人の流れをつくることであり、地域おこし協力隊は、実際に流れを生み出す重要な政策ツールとなっている。

 平成21年度に制度がスタートした当時89名だった隊員数は、5年後の平成26年度には1511名にまで増え、総理が3年間で3000人にすることを目標に取り組むよう指示したことを受け、平成26年12月に策定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」のアクションプランでは、「2016年に3000人、2020年に4000人をめどに拡充」と規定されており、今後さらに地域おこし協力隊員数が増えていくことが見込まれる。では、地域おこし協力隊の活動はどのような実態にあるのであろうか。

 都会から地方への移住という話は、一般に美談のみが語られることが多く、地域おこし協力隊についても、個々の活躍事例などが、様々な雑誌や本、テレビ番組で紹介されることも多い。もちろん、個別事例が表立って紹介されるわけではないが、市町村側の受け入れ体制の不十分さ、採用した隊員の意向との食い違いなどにより、いわゆる「うまくいかなかった」事例が生じていることの認識も広がってきている。

 そこで、今回はマクロ的、俯瞰的な視点を基本とした上で、今後、制度を用いようとする、ないしは運用中の市町村や地域にとって、また、これから地域おこし協力隊員になろうとする都市部の若者にとって、活動のありかたを考える参考となる記事を雑誌『地方財務』に連載した。

            沼倉瞳(北海道石狩市地域おこし協力隊員)
            今井太志(北海道総合政策部政策局総合教育担当局 局長)
            敷田麻実(北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科 教授)

    「地域おこし協力隊員の姿(上)」_『地方財務_2015年09月号』(主に沼倉執筆担当)
    
    「地域おこし協力隊員の姿(中)」_『地方財務2015年10月号』(主に今井執筆担当)
    
    「地域おこし協力隊員の姿(下)」_『地方財務2015年11月号』(主に敷田執筆担当)