Last Updated 2002,6/6


TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)の作製


図1 作 製したTFTの拡大写真1
図2 作製し たTFTの拡大写真2
解説

 これは、本研究室で独自に開発した直線偏光YAGレーザによりガラス基板上に溶融結晶化させたシリコン薄膜を用いた、TFT表面のノマルスキー微分干渉光学顕微鏡写真である。Sがソース、Gがゲート、Dがドレイン部の電極である。 チャネル長10μm、チャネル幅20μm、シリコン膜厚45 nm程度で作製したものである。 イオン注入装置、リソグラフィ装置などを駆使して、作ったJAISTオリジナルな電界効果トランジスタである。 但し、ゲート酸化膜は熱酸化により形成しており、それでは、安価なガラス基板では歪むので、今後はそのゲート絶縁膜を、500度以下の低温で作製する予定である。大学独自で、FETをつくることはなかなか出来ず、大学でTFTを作製して、学会に発表している大学は、日本では片手の指もないであろう。

解説

 これは、図1の拡大図である。トランジスタの心臓部、チャネル部分の拡 大である。よくよく見ると、ソースやドレイン電極部で制御しきれていない結晶粒 界が存在することがわかる。これら電極部での粒界はそれほど大きな問題で はない。チャネル部に粒界があるか無いかが問題である。この写真からでは、 チャネル部にあるか無いかは見て取れない。

図3 作製したTFTのドレイン電流ーソース*ドレイン電圧特性
   

解説

 一応、まがりなりにもゲート電圧でドレイン電流を制御しているトランジ スタ特性を得ている。これらの特性などから、電界効果移動度が約30 cm2/Vs 程度と見積もられ、通常の報告されているものより1桁ほど低い。これは、 レーザ溶融結晶化膜自体にも問題はあると思うが、それ以上に本研究室の TFT作製技術が未熟であることも一因となっている。 今後は、TFT作製プロセスを改良し、より高い移動度がでるTFTを作製する予 定である。




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材料科学研究科