就職について
就職先は、いつも学生皆さん本人の意思で決めてもらっています。堀田は、その手助けをし、その望む企業に対しての適性をアドバイスしています。
皆さんの就職活動と修士研究とをうまく両立するために、堀田研では、
主として 学校推薦を奨励し、それだけでは不安でしょうから
従として 自由応募同時進行として2件までの活動を奨励しています。
（同時進行とは、1件失敗したら次の1件を探し、計2件まで同時に進めることです。自分の研究の進み具合を考慮して、自由応募がなくてももちろん構いません。なお、3件以上の同時進行は、学業に良くない影響があると思いますので、謹んで貰いたいのですが、同時進行のものに加えて予備的に幾つか考えておくことは良いことでしょう。）
１） 会社が求める人物とは？
確かな技術、知識と信頼できる人間性（実行力、言葉の信頼性）だと思います。
とても、付け焼刃で備わるものではありません。常日頃からの地道な努力の積み重ねで初めて到達できるものと思います。
会社にとって採用は、何億円もの高い買い物であるため、面接試験官は、君らが思う以上に超越した人物判定のプロであり、ニコニコした笑顔があっても、その裏には鋭く厳格に人物を鑑定する顔があります。面接では、場当たり的で、うわべだけのものでは、試験官は到底納得しません。どこかの本に書いてあるような、一見耳障りの良いような話は、試験官は聞き飽きています。
２） 企業が納得する面接とは？
本人自身が経験し語る、重みのある言葉だと思います。経験しているからこそ、言葉に重みがあり、人を説得、感動させることができると思います。具体的には、如何に修士研究で努力、苦労し、それに対して、どのように工夫し、乗り越えてきたかということです。しかし、修士研究は始まったばかりなので、そんな苦労話はできないと、思われるでしょうが、決してそのようなことは無いと思います。修士研究を始めるときは、おそらく知らないことだらけだと思います。初めて聞くことば、原理、法則や、初めて見たり操作したりする装置と向き合うため、悩み、戸惑い、失敗を繰り返し、自分を卑下することも多くあると思います。しかし、その反面、それらを克服、理解し、成功した（前の先輩と同じことができただけでもいいのです）時の喜びも大きいのではないでしょうか。（なお、教員にできることは、そのように努力する皆さんを手伝い、支えることであり、主体は皆さんにあると思うのです。）そう、大きなことでなくても、些細と思われることでもいいのです。本当に自分で悩み、工夫し、やってきたことを自分の言葉で話し、表現することは、就職面接テクニックの本などに書いてある綺麗な言葉よりも含蓄があると思います。面接官は当然、今の知識、技術も見ますが、それよりも先の将来を見て、君らの潜在的な能力、人間性を見ているのです。（JAISTは学部がないので、JAISTからの修士の就職は他の大学に比べて不利だと思われていますが、このように発想の転換をすれば、逆にそれが強み、売りとなると思うのですが、どうでしょうか。）
３） そのために、堀田研では
そういう意味で、ＲＰ(Research Proposal, 修士研究計画書)を納得するまで書き上げることは、まず、実のある修士研究を始めるためばかりでなく、就職活動の大きなはじめの1歩であると思います。ＲＰを書くためには、修士研究に関する基本知識から具体的に研究で使う実験装置に触れ、身を持って原理原則と実際との符合や違いを体得しなければならないからです。そこには、知識の修得を含めて、いままで知らなかったことによる迷い、不安、失敗などが様々出てきます。それを如何に自らの努力で乗り切れてきたかと言うことです。また、研究室で行うミーティングは良い面接訓練の場だと思います。それは、たまに痛いところを衝かれ、しどろもどろでも自分の全知全能を使い、答えようとする口述訓練になるからです。ミーティングでの質問に慣れると、就職面接での質問が、生ぬるい質問に聞こえるという先輩もいました。
また、就職試験では、ＳＰＩなどの適正テストがあります。最近、就職説明に堀田研究室に直接来る企業の人が言うには、「ＪＡＩＳＴからも何人か応募があったが、さすがに算数、国語、英語で20点、30点では、採用できませんよ」ということでした。ＳＰＩテストに関する本が良く出回っているためか、その会社では根本的な内容は同じですが形式が異なる方法で行っているとのことでした。これに関しても、ＲＰを一生懸命書き上げる、つまり、就職活動前の修士1年生の間に、数学的な計算、報告書の文章書き、論文雑誌の英文読みと、少しずつでも毎日続けてしていれば、知らず知らずにそれらの実力が付き、どれも適正テストに対して十分な訓練になっています。
そういうことから、研究室での修士研究をしっかりやり始めるということは、とりも直さず、十分に就職活動の下地を整えているという事です。その意味でも、実力をつけるべき修士1年の間は、就職活動を控えれるように、就職は主として学校推薦であり、また、多少の不安を除くために同時に進行できる自由応募2件としています。（2件でも、かなりの時間と労力が掛かるため、真に必要な知識や技術を身に付けるための時間が無くなると私自身は思っています。）
それでも、他の友達が就職活動に奔走しているのを横目で見ると不安になるのは、よく理解できることです。もし、私だけが周りと違っていたら、やはり、不安は完全に払拭されないでしょう。でも、安心することがあります。
４） 堀田研の就職事情
堀田研究室の修士テーマは、電子デバイス関係のため、電気系の就職活動は、他の分野よりも遅く、本格的には4月からでも十分間に合うという感じです（誤解しないで下さい。4月から始めなければならないとは決して言っていません。仮に4月から具体的に始めるとしても、下準備がありますから、2月ぐらいからは調査が必要でしょう）。いままでの先輩を見ているとそうでした。今と昔はシステムが違うので、そうではないと言う意見があることも分かりますが、今も昔も変わらないのは、良いものはいつの時代でも良いと評価され、そういう人をみんなが欲しがるということです。
先に書きましたように、堀田研究室の研究テーマは比較的、半導体産業、電気産業にとって即戦力になりやすいものであるため、面接試験での話が通りやすく、企業（例えば、日立、東芝、東芝松下ﾃﾞｨｽﾌﾟﾚｲ、日立国際電気、スパシオンジャパン（富士通のＬＳＩ系）などなど）からの求人は、研究室単体で、つまり研究室名指しで引っ張りだこの状況です。時には、「堀田さんの推薦する人なら（堀田さんの所で学んできた人なら）、間違いないから、誰でも採りますよ」といってくれる人もいます。だからといって、学生さんにむりやりそこに行くように指導は一切しておらず、あくまで、学生さんの意思を尊重し、その上で適性を見て判断しています。また、以前、大学推薦がなかった、ＮＥＣや金沢村田製作所を希望した学生がいたので、私が人事関係者に直接電話を掛け、交渉し、面接をしてもらい採用してもらったこともあります。ですから皆さんに適性があれば、堀田は十分に就職のお手伝いをしたいと思っていますし、また、それができるようにするためにも、常日ごろの継続した地道な研究活動を積み重ね、実力を付けることが重要だと思うわけです。
なお、堀田研の修士からの就職の場合、8割以上が、1回か2回の学校推薦で決まっていますし（博士の場合は、研究室と企業との関係がより重要となります）、詳しい就職先は、ホームページの「修了生の就職先」を見て下さい。