位置選択的にRNA中のシトシンをウラシルへと変換
DNAおよびRNAに対してピンポイントに変異を人工的に導入する方法は、遺伝子を解析することや遺伝子を修復する上で有用です。実際にDNAに含まれるシトシンはバイサルファイト処理により、脱アミノ化されてウラシルに変換されることが報告されています(Hayatsu, H. et al., J. Am. Chem. Soc., 1970, 90, 724)。しかし、ピンポイントでの操作がそもそも難しいことや、バイサルファイト処理の際にDNA中に含まれるシトシンが脱塩基してしまい、DNAの分解を引き起こしてしまうこと問題点がありました。本論文ではRNAに対して高効率かつ秒単位で可逆的に光架橋可能なCNVKを有する光応答性プローブを用いることで、RNA配列中のシトシンをウラシルへと位置特異的に点変異させることに成功しています。特定のRNA配列を検出するだけでなくRNA配列を編集できることを見出しました。本手法は酵素を必要としないことから例えば細胞内遺伝子修復などの分野での実用化が期待できます。
論文
Site-specific photochemical RNA editing
Kenzo Fujimoto,* Kaoru Hiratsuka-Konishi, Takashi Sakamoto and Yoshinaga Yoshimura
Chemical Communications 2010, 46, 7545-7547
DOI: 10.1039/C0CC03151H
Site-specific cytosine to uracil transition by using reversible DNA photo-crosslinking
Kenzo Fujimoto, Kaoru Konishi-Hiratsuka, Takashi Sakamoto, Yoshinaga Yoshimura
ChemBioChem 2010, 11, 1661
DOI: 10.1002/cbic.201000274