問い合わせ先:北陸先端科学技術大学院大学 研究協力課事業担当 TEL(0761)-51-1167,1960 FAX(0761)51-1186 E-mail:jigyou@jaist.ac.jp |
伝導ポリマー(プラスチック)の発見の重要性を説明するよう求められた場合,2つの異なった答え を用意している。 (i) そのようなプラスチックは存在しない(存在するはずがない?)。 (ii) そのようなプラスチックはいままでに知られている素材にはない新しい組み合わせをもたらす。 前者(i) は知的な挑戦を表し,後者(ii) は実用面での魅力的な未来を表す。 本講演では,電気を通すプラスチック(第四世代のポリマー材料)の科学技術における最近の著しい 進歩を要約して紹介する。 |
今回招待したヒーガー教授は,日本の白川博士が偶然に発見した導電性ポリマー(プラスチック)の研究を基盤にして,新しいポリマー科学の学問分野を構築した立て役者であり、白川博士らとともに2000年のノーベル化学賞を受賞している。 教授は,これもノーベル物理学受賞者であるシュリーファー教授等とともに化学の成果を理論解析して,化学から物理の世界に革新的な風を吹き込むとともに、それが将来の産業に革命的な進歩を呼び起こすことを予測し,自ら新素材の企業や研究所を創設するなど,新技術の開発と新規な産業の創出を実践してきた科学者である。 また,教授とは本学材料科学研究科の三谷教授が,1980年にペンシルバニア大学のヒーガー研究室へ約1年間留学して以来,同研究室と研究者,学生の交流を含めて長年にわたって共同研究を行う等密接な協力関係を保っている。1997年にはヒーガー教授を本学に招き,講演と研究に対するレヴュ−を行って頂いた。 このような関係から,今回,本学の招へいに応じて直近のノーベル賞受賞者という繁忙のなかにもかかわらず,本学だけのために来日し,講演をしていただけることになった。 |
紙のように薄くしかもブラウン管のカラーテレビのように美しいディスプレイは長い間の人類の夢であった。また、トランジスタ集積回路(IC)をインクジェットで描いてしまうことなど、夢にも考えられなかったことである。 しかし最近,このようなことが機能性高分子材料をマイクロ溶液プロセスに適用することで一気に現実化してきた。 本講演では,有機ELディスプレイと有機TFTの開発例を通じて,溶液科学と機能性高分子が拓く魅力的な未来産業技術の姿を紹介する。 |
下田達也博士は,現在セイコーエプソン基盤技術研究所の所長であるとともに,本学の溶液科学・連携講座の客員教授である。 博士は、自社の開発したインクジェット法による印刷技術をポリマー材料に応用して,液晶表示素子とは全く異なる新しい表示技術を創出し,いま世界的に多大の注目を集めている。 さらに,表示素子に限らず,ICなどの電子デバイスをプラスチック上に印刷する技術を開発中であり,これまでのシリコン単結晶を基盤とした無機半導体産業から,省エネルギー,省材料を目指した環境に優しい有機の機能性ポリマーを活用した産業への転換を計っている. |