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ビジネスマンが論文を書く意味

JAIST東京社会人コースでは,博士論文・修士論文を重視しています.

特に,忙しいビジネスマンが,学者を目指すわけでもないのに,講義だけでなく, 「修士論文」を書く意味はなんでしょうか?

司馬遼太郎の「坂の上の雲」(渡米の章)に,マハン大佐が秋山真之に言った言葉として 「それから得た知識を分析し,自分で編成しなおし,自分で自分なりの原理原則をうちたてることです. 自分でたてた原理原則のみが応用のきくものであり,他人から学んだだけではつまりません」とあります. もちろん,小説なので実際にそのような発言があったかどうかはわかりませんが, 秋山真之はそのような考えを持っていたようです.

これは,軍の戦術に関するものですが,社会人大学院で,ビジネスマンが 修士論文を書く意義はここにあります.

既存の知識(理論)の上に自分でとことん考えて新しい知識(理論)を確立することで,真に実践で応用できる知識(理論)となるのです.

例えば,講義でフレームワークを学んだ際に,実務でうまく使えなかった場合に 「これは役に立たない」と判断してしまうケースをよく見かけます. 一方,研究を通じて新しいフレームワークを自分で提案した経験のある人は, フレームワークを杓子定規にとらえず,実務で使えるようにカスタマイズできます. すなわち,実践的な応用力が大きく違ってきます. さらに,自分で新しいものを生み出す喜びを感じた学生さんが,博士後期課程に進学するケースが多いのも本学の特徴です.


問い合わせ先:内平直志 uchihira@jaist.ac.jp