担当: 橋本敬
日時: 6/16(金) 15:30-
場所: コラボ2
紹介論文: "Cerebral coherence between communicators marks the emergence of meaning"
概要:
コミュニケーションにおける相互理解について,2つの意見がある.
1.信号と意味の連合が行動を通じて形成される
2.特定の経験を抽象した信号の使い方の「概念」を共有する
どちらも,相互理解に至る人の間で神経ダイナミクスがコヒーレントになる予測するが,
前者は信号の発生と合った時間で,後者は概念的約束のダイナミクスと合った時間で生じるとする.
この研究では,fMRI二者同時計測データに対してスペクトル密度のコヒーレンス分析をし,
新奇な信号の相互理解により右側頭葉の活動が同期し,それは,
コミュニケーションの履歴を共有しているペア内でのみ,そして,
信号の発生とは独立した時間スケールにおいて生じるということを示す.
これは,2の立ち場を指示する結果である.
  
この研究は,実験記号論パラダイムで脳測定をするという研究である.
用いる課題は,いくつかの部屋の中をエージェントを移動させるというもので,そして,
二者間の脳活動の同期を対象としている.というわけで,我々が行ってきた研究と大いに関係する.
課題自体は,明示的に「記号」を送り合うのではなく,移動する行動自体でなにかを伝えるという,
Signaling signalhood (Scott-Phillips, 2009)を発展させたものである.
そして,どちらかというと我々と異なる立ち場を支持する結果を示している.
実際のところ,我々のこれまでの解析ではこの二つの立ち場を明確に意識していなかったと
言った方がいいかもしれない(僕自身は後者の方により親和性を持つ).
そこで,本研究を紹介・共有し,両方の立ち場について意見交換したい.
そして,2つめの立ち場に基づいた我々の脳波データの解析方法としてどのような方針が考えられるか
という議論に繋げられたらと考えている.

Cerebral coherence between communicators marks the emergence of meaning
A. Stolk, M. L. Noordzij, L. Verhagen, I. Volman, J-M. Schoffelen, R. Oostenveld, P. Hagoort, and I. Toni
PNAS 2014 vol. 111, no. 51, pp. 18183–18188

ジャーナルサイト → http://www.pnas.org/content/111/51/18183.full
PDFファイル → https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4280639/pdf/pnas.201414886.pdf
Supporting Information → http://www.pnas.org/content/suppl/2014/12/04/1414886111.DCSupplemental
  
Speaker: Takashi Hashimoto
Date&Hour: 16 June (Fri) 15:30-
Place: Collabo 2
Title: Paper review:  "Cerebral coherence between communicators marks the emergence of meaning"