担当:外谷 弦太 日時:12/2(金) 15:30- 場所:コラボレーションルーム2 紹介論文:"The emergence of recursion in human language: Mentalising predicts recursive syntax task performance" 概要: 他者の心理状態を推論する能力を心の理論(Theory of Mind,以下ToM)という. ToMは多くの研究者が言語発達との間に重要な相互作用があると考えている認知能力であり, これまで子供の言語獲得に関する研究が多く行われてきた. 近年,何人かの心理学者および進化心理学者が,多くのヒト特有の行動や文化的慣習の出現において ToMが重要な役割を果たしただろうと考え始めている. そういった背景に基づき,本論文の著者らは大人におけるToMと言語能力, 特に高次の意図性と再帰的統語との関係について実験を行っている. 本論文は,自然選択がより高次の意図推論を要求したとき,必然的に再帰的思考をもつことが 有利に働いただろうと仮定し,この再帰的思考が再帰的な統語をあとからブートストラップした という仮説を立て,IMTというタスクを用いて高次の意図性,再帰的統語,単純な記憶能力の 三者間の関係性を調べたものである. 結果として,一次から五次までの意図性が単純な統語構造の処理に必要であり, 反対に五次を上回る意図性になると再帰的統語による認知的足がかりがより高次の意図推論に 要求されることがわかった. 外谷は再帰的統語の出現要因として物体操作を考えていますが,今回はそれと別の仮説を 紹介する形になります.心の理論は言語学だけでなく人工知能や行動経済学などとも密接に 関係するトピックだと思うので,研究室メンバーにとっても有用な話題を提供できるものと考えます. 書誌情報: Oesch, N & Dunbar, R. I. M., "The emergence of recursion in human language: Mentalising predicts recursive syntax task performance", Journal of Neurolinguistics, 1-12, 2016. PDF:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S091160441630029X Speaker: Toya Genta Date&Hour: 2 Dec. (Fri.) 15:30- Place: Collaboration room 2 Title: "The emergence of recursion in human language: Mentalising predicts recursive syntax task performance"