担当:真隅 暁
日時:10/7(金) 15:30-
場所:5Fコラボ2
内容:論文紹介

紹介論文:

R.X.D. Hawkins and R.L. Goldstone,
"The Formation of Social Conventions in Real-Time Environments",
PLOS ONE 11(3): e0151670,  (2016).


論文入手先:
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0151670


概要:

本論文では,実時間の相互作用のなかで社会的慣習が形成される
仕組みを明らかにすることを目指し,著者らが "Battle of Exes"
と呼ぶゲームを用いて行った実験の結果について報告している.
著者らは,ゲームの帰結として生じる,ある程度持続的で安定的
な行動パタンを「慣習」と捉えている.そして,各自の意思決定
が「同時で一度決定したら変更不可能」か,「非同時で,ある時
間幅の中で動的に変更可能」かどうかという点に注目し,それぞ
れの条件でゲームの結果がどう変わるかを分析している.
実験の結果,動的に変更できる場合の方がそうでない場合に比べ,
より効率的で公平な帰結に到達する割合が多い,ということがわ
かった.また,ゲームの帰結の安定性は,各プレイヤーが獲得す
る利得の差が大きくなるほど高まるということがわかった.これ
らの結果に対し,著者らは生物進化の概念である遺伝的同化(ge-
netic assimilation),および水路化(canalization)とのアナロジー
に基づいた議論を展開している.

著者らによる議論は興味深いが,アナロジーに留り,メカニズム
の説明としては不十分だと感じられる部分も少なくない.ゼミで
は,本論文を材料にして慣習の形成について議論できればと考え
ている.


Speaker: Akira Masumi
Date & Hour: 7 Oct (Fri) 15:30-
Place: 5F Collaboration Room 2
Title: Reviewed paper: "The Formation of Social Conventions in Real-Time Environments"