担当:藤原正幸
日時:8/4(木)15:30-
場所:コラボレーションルーム2
紹介論文:"Measuring Phase Synchrony in Brain Signals"
概要:紹介論文では,脳信号における位相同期について直接定量化するための手法を提案している.この手法はPLSと呼ばれ,2つの信号間の位相共分散の有意差
を測定する.さらに,背景振動に対して,位相差の試行間変動性を評価するPLVを有意に識別するために,サロゲートデータに基づく統計検定を行うことで,位相同期を同定
することを可能にしている.加えて,位相同期を見る研究背景やコヒーレンスの前提上の問題点(定常性の仮定,相互依存性のある信号を対象とした場合の解
釈やその検定)などに触れつつ,実際に提案手法を神経データに適用することで,てんかん患者のデータからガンマ帯における大規模な同期を発見している.
最後には,著者らは,長距離による影響は認知過程を反映して行うのに対し,短距離の同期は体積伝導によるものである可能性が高いと主張しており,そのような伝導効果から,
真の位相同期を分離する方法を議論している.

少し古い文献ですが,自身の研究で重視している位相同期の役割や課題であるPLVに基づく統計検定の手続きなど,非常に参考になる文献であると考えています.
皆さんと共有し議論することで,さらに理解を深めたいと思っています.


書誌情報:
J. P. Lachaux, E. Rodriguez, J. Martinerie, and F. J. Varela,
"Measuring phase synchrony in brain signals,"
Hum. Brain Mapp., vol. 8, no. 4, pp. 194–208, 1999.
PDF: http://www.ma.utexas.edu/users/davis/reu/ch3/cwt/lachaux.pdf