担当:山田 広明 日時:7/24(金)13:30- 場所:コラボレーションルーム2 内容: 論文紹介 "Resource heterogeneity can facilitate cooperation” 概要: 囚人のジレンマや共有地の悲劇として呼ばれる社会的ジレンマ状況で, いかにして協力行動が創発するかは進化生物学や社会学における中心的な問いの一つである. 本論では,異質性が協力行動を促進するという議論に着目し, 空間に配置されたプレイヤーが公共財ゲームを行うモデルを, 利用可能な資源に格差が存在するように拡張したモデルで実験を行い, ”ある場合には”,利用できる資源の異質性が協力行動を促進することを示している. すなわち,協力しないことへの誘引が強い状況では,協力行動の拡大が促進されるが, 誘引が弱い状況では,逆に協力行動の拡大が阻害されることを示した. 著者らは,二つの対照的な効果が,裕福な場所が島状に点在している事,に起因していると主張し, 背後にあるメカニズムとそう考えることの妥当性を定性的・定量的に議論している. 以上に加え,混合戦略を仮定すると,同様のメカニズムが, 協力するプレイヤーが全くいない状況からの,協力行動の発生・定着を実現することを示している. 次の二点の動機からこの論文を紹介します. ・これまでエージェントの配置の効果を上手く分析できずにいました. この論文では,PDSというスコアを定義し配置の効果を定量的に評価し(ようとし)ています. その方法のアイデアを勉強し使えそうかを検討するために. ・この論文で使われているモデルは,公共財供給問題 + 協力行動の拡大, という問題を扱う際の標準的なモデルの一つと思います. (一年前ぐらいのゼミで紹介したABM [Medina et al. 2014]は別の標準形式の一つ) 標準的なモデルやそこで分かってる知見と自分の研究の差違を明らかにするために. 書誌情報: “Resource heterogeneity can facilitate cooperation”, Ádám Kun & Ulf Dieckmann, Nature Communications, 4, 2453, (2013). Link: http://www.nature.com/ncomms/2013/131003/ncomms3453/full/ncomms3453.html#close Speaker: YAMADA Hiroaki Date & Hour: 24 July (Fri) 13:30- Place: Collaboration Room 2 (5F) Title: Paper review: Resource heterogeneity can facilitate cooperation