担当: 辻野 正訓 日時: 5/16(木)15:30- 場所: コラボレーションルーム2 内容: 論文紹介 "The relevance of Keynes" 論文の概要: 本論文は,近年の世界金融危機の原因とこのような危機から逃れるための方策について, ケインズ経済学の立場から論じている.具体的には,新古典派経済学における学説(市場 メカニズム等)に対する過剰な期待と乱用が危機を招いたとし,特に,不確実性(動機,期待, 心理,情報など)に対する認識の欠如が新古典派の問題であると主張する.このような問題 を解決する方策として,ケンインズ経済学的な人々の期待に働きかけるような刺激(景気対策) や将来に対する不確実性がもたらす為替変動や過剰な富の蓄積を抑制する国際通貨システム の変革などを提案する. 自分の研究との関連(橋本先生向け?): 現在,安冨モデルに流動性選好を導入した基軸通貨モデルの論文を執筆中で,これまで,流 動性選好を導入する必要性をサポートする英語論文を探していた.本論文では,新古典派が 無視した不確実性の一つである将来の不安に備えて貨幣を蓄える人間の心理,すなわち,流 動性選好が,例えば,不況下においてはそれをさらに悪化させる方向に働き(ポジティブ・フィ ードバック),これにより,新古典派における自己調整メカニズムが市場経済で機能しないと説 明されている.このような実体経済と貨幣理論の両面において流動性選考の重要性を指摘す る説明を基礎にすれば,新古典派(メンガー)の貨幣理論を基礎にした安冨モデルに流動性選 考を導入する必要性をサポートできると考えている. 論文: Robert Skidelsky, The relevance of Keyes, Cambridge Journal of Economics, 35(1), 1-13, 2011. WEB:http://www.skidelskyr.com/site/article/the-relevance-of-keynes/ Speaker: TSUJINO Masanori Date&Hour: 16th May. (Thu) 15:30- Place: Collaboration Room 2 Title: Paper review "The relevance of Keynes"