──先生ご自身が自然言語処理の研究に携わるようになったのは、いつ頃からですか?
大学卒業後、電電公社(現NTT)武蔵野研究所に入所したのですが、配属決定時、ちょうど同研究所で言語処理の研究が開始されるところだったのです。決して得意な分野だったというわけではなく、巡り合わせから自然言語処理の研究に携わってきたわけです。当時は自然言語処理の教科書もありませんので大変でしたが、「構文解析」、「意味解析」という基礎的な研究から対話システム、機械翻訳まで自然言語処理に関する一通
りのことに携わることができたのは良い経験でした。
──こちらの講座の二つの研究室では、どのような体制で研究を進められていますか?
私と奥村学助教授('00年4月より東京工業大学精密工学研究所に異動、JAISTは併任)がそれぞれ独自に研究を進めながらも、協力すべきところはプロジェクトとしてやっていこうという趣旨で進めています。方向性を一致されられるところでは一致させ、一つでも多くの成果
をあげることを目指しています。
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──医療や法律に関するテーマなど多彩な研究が行われていますね。
法学部出身の学生がいたこともありますし、現役の医師の方も学生として所属していますので、そうした分野の研究が行われています。情報科学科のなかでも言語を扱っている性格上、文系出身の学生などさまざまな分野から集まっていますから、多彩
なテーマ設定で研究を進められます。
──学生の方にはどのような指導をなさってますか?
学生の興味を持っていることは、可能な限り尊重したいと考えています。ただそれが難しい場合には、こういう方向性もあるということを示す場合もあります。文系出身の人はコンピュータに不慣れなことが多く苦労することも多いのですが、皆、頑張って習得しているようです。
──研究の指針は?
言葉というのは依然としてその本質が分かっていません。自然言語処理の分野はまだまだこれからの研究分野といえるでしょう。。いろいろな視点から研究を進めて少しでも人と機械、そして人同士のコミュニケーションを向上させたいですね。
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