顔画像解析手法は, 画像の輝度値や色情報を特徴空間へ写像するなどして
画素
情報から顔画像特徴を抽出するappearanceベースの手法と, 顔画像から輪郭や特
徴点を抽出して顔の形状特徴を抽出するmodelベースの手法の二つに大別でき
る. この二つの解析手法は,
大局的情報または局所的情報を捉える手法である.
画像解析において, 大局的, 局所的情報を異なる解像度から抽出, 解析する手法
に, 多重解像度解析がある. 顔画像の特徴を多重解像度解析することにより, 顔
の大局的特徴と局所的特徴が分離, 抽出, 解析できれば,
appearanceベースの手法とmodelベースの手法の問題点を軽減しそれぞれの長所
を有する顔画像解析が期待できる.
本研究では, 顔画像の特徴解析に多重解像度解析を用い, 多重解像度による大局
的, 局所的情報を捉え, 各解像度が顔のどの様な特徴情報を含んでいるのかを明
らかにすることを試みた. 解析に用いる画像は, 照明による顔の濃淡変化を顔の
形状特徴として捉えている顔濃淡画像と, 顔の直接的な形状特徴を捉えている顔
距離画像を用いた.
顔濃淡・距離画像を離散コサイン変換, 離散Wavelet変換により多重解
像度解析し, 顔画像の特徴情報を解析した. 顔濃淡・距離画像の多重解像度解
析より得られた特徴情報が, 個人を特定する情報を含んでいるかにつ
いて, 個人識別実験を行い評価した.