背景と目的
『スターソルジャー』『ゼビウス』等で知られるシューティングゲームは通常1人で遊ぶタイプのゲームです.しかし中には対戦型シューティングといって,一部コンピュータと上手さ競い合うものがあります.
対戦型ではコンピュータより長くミスしない事がプレイヤの目標ですが,そこでコンピュータが機械的に弾を正確に避けすぎると人間プレイヤは理不尽に感じるかもしれません.
そこで人間のような画面の見方と探索よって人間らしい挙動のシューティングゲームAIを作ることが本研究の目的です.
アプローチと結果概要

本研究ではまず既存AIの挙動から,人間らしくない印象を与えそうなポイントを以下のようにまとめました.
・回避に余裕が少なすぎる
・画面を狭くしか見ていない
・人間には不可能なほど高速に移動方向を切り替える
そこでこれらの挙動の発生を防ぐように
- 弾の周囲や行き先に近づくことをできるだけ避ける
- 少し先を予想して安全そうな場所を目指す
- 移動方向を短時間で切り替えない
- 現れたばかりの敵や弾にすぐ反応しない
などの工夫をAIに組み込んでみました.
そしてこのAIの動きが人間らしい挙動に見えるかについて被験者実験でアンケートを取りました.
その結果,ルーティンを組み込む事で挙動の人間らしさが改善しました.
今後の課題・展望
最終的には対戦型シューティングで人間らしく振る舞えるAIの作成を目指してます.そのためには 敵の殲滅やボムの使用も人間らしくするという課題があります.また本研究で挙動やミスのタイミングが人間らしいAIが作成できれば,適当に作ったシューティングのステージを AIにプレイさせてクリアの確率やミスまでの時間を計測して,ステージの自動生成の補助ができると考えてます.
研究担当者,業績,リンク等
・本研究は主に佐藤直之が担当しています.・本研究は研究会論文が採録されています.
- 佐藤直之,Sila Temsiririrkkul,Luong Huu Phuc,池田心:
Influence Mapを用いた経路探索による人間らしい弾避けのシューティングゲームAIプレイヤ,
第21回ゲームプログラミングワークショップ,pp. 57-64, (2016-11)