いい意味で学校らしくない、息苦しさがない、JAISTに入学して受けたのはそんな印象でした。学部の延長ではないため経歴も様々な人がいろんな所から集まり、自由な雰囲気ができあがっていたのでしょう。非常に過ごしやすかったことを憶えています。
私は繊維系の技術者だった父親の影響もあり、中学生の頃から将来は技術的な分野で仕事をしたいと考えていました。手で触れられる、目で見えるモノをつくりたいという思いです。大学院に進む際も、アカデミック色の濃いものより、企業で役立ちそうな応用分野の研究をと考え、多彩な研究内容でそれに応えてくれそうなJAISTを志望しました。寺野稔先生の研究室に配属されて、手がけた研究は合成樹脂に関連する重合触媒をテーマとしたもの。研究室では全体で1つの大きな目標を掲げ、それに向かって個々が各々のテーマを追いかけていく形をとっていて、寺野先生は全体をいかに活力ある集団にできるか腐心されていたと思います。月に1、2回、集まって飲んだり、楽しく厳しく、居心地の良い研究室でした。
その後弊社に就職し、期せずして担当したのが樹脂の設計開発という、JAISTで得た知識をそのまま生かせる仕事。これはラッキーでした。同時に、目に見えない部分でも先生や学生の様々な考え方に接した経験は、相手を真摯に受けとめることの大切さを教えてくれました。他者の意見を吸収できる柔軟性は企業人としての成長を促すもの。これからJAISTで学ぶ人は、ぜひ、多様性のある環境で、“聞く”という姿勢を意識して過ごしてください。