新しい記憶術
電子Writingは新しい記憶術なのだ.
コンピュータは, 人間の記憶によって代わるものではないけれども, Writingと記憶の
間の境界線を描き直す, と言うか新たに作り直すのである.
かつては書き手や読み手の心の中に存在していた
要素間のダイナミックなネットワークを,
コンピュータは自分自身の中に取り込む
ことができる.
書き手の記憶とは, かつて印刷されたり手書きされたりしたページとの間でそうだった
ように, 電子のWriting Spaceとも或る連続体を形成する.
そして電子のWriting Spaceを航海するということは,
人間の精神能力に新たな要素を突きつける
ことであって, 記憶そのものを新しく定義するということを含意するのである.
林 幸雄
(yhayashi@jaist.ac.jp)
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