Bolter'91(Y.Hayashi)

絵文字(発展しつつある図表)

電子メィデアは絵を用いて書くという長く捨てておかれた手法に対して, 改めて卓越した地位を与える.

例えば, アイコンはそれぞれ名前を持っているだろうが, 結局のところは或る動作を する, 或いは動作をされる絵なのであって, そうした動作がアイコンに意味を与える. アイコンの機能は, コンピュータの Writing Spaceの中で要素を結び合わせることである.

印刷されたページの上では図表が例外的なものであった. 他方, 電子Writingにおいてはそれが規則になる. コンピュータディスプレイ全体が, 動きつつあり発展しつつある図表 なのである.

まとめると, 絵画は装飾的であったり, 説明的であったり寓意的であったりした. それらはテキストに対して注釈を加えた. だが, コンピュータのディスプレイ上で今日なされているように, 言葉と絵画が結び ついているのは中世の写本においてだけだった. ディスプレイ上では, 中世の羊皮紙上のように, 書き手にしろ読み手にしろ, 絵画空間 がどこで終り, どこから言語空間が始まるのかもはや誰も言うことができないほどに, 言語テキストと図像が相互浸透している.

結局, 電子テキストでもって, 書き手も読み手も自分たちが洗練された視覚的な Writing Systemの範囲内, つまり 絵画的空間で記号を操作 しているのだ, と気づく.


林 幸雄 (yhayashi@jaist.ac.jp)
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