電子情報通信学会の基礎・境界ソサイエティ主催の 「回路とシステム軽井沢ワークショップ」 は,毎年春に軽井沢で開催されており,今回で19回目を迎える息の長い研究集会です.規模も大きく,投稿数も100件前後,参加者数は例年100名以上で,200名を越える年もあります.「回路とシステム」ということですから,参加者もやはりLSI関係者が多く,そのため企業からの参加者も格段に多いのが,このワークショップの特徴の一つと言えるでしょう.軽井沢というリゾート地で開催されているというのも魅力なのかもしれません.
このワークショップは,回路とシステムに関連した分野を対象としていますが,名称から受ける印象とは違って,かなり幅広い分野を許容しています.
上記のうち,LAシンポジウム関係者の皆様に特に関連が深いのは,「離散システム理論」の分野でしょう.筆者はこのワークショップの実行委員をしており,「離散システム理論」を担当しているのですが,この分野に限り,投稿や参加者が多くなくて悩んでいます.知名度が低いからかと思いきや,意外と皆さん御存知だし,以前に講演したことがあったり,実行委員をされていた方も少なくありません.おそらく,「関係者の参加が少ない→参加費が安くないわりにメリットが大きくないので費用対効果がそれほど見込めない→参加は見送ろう→関係者の参加が少ない」というスパイラルに入ってしまっているからだろうと思います.それを打破するために,これまで茨木俊秀先生や戸田誠之助先生に御講演いただいたり,計算幾何学や量子計算やアルゴリズムの招待講演セッションなどを企画してきたのですが,継続して参加していただける方があまり増えないのが悩みどころです.
このワークショップのCFPなどからだけでは良く分からないかもしれませんが,よく見てみると意外と「使える」ことが分かります.まず,本ワークショップには査読があるため,(学生を抱える先生方にとっては)学生にきちんと論文を書かせる良い機会として「使える」でしょう.また,本ワークショップが出す奨励賞,協賛のIEEEが出す学生賞があるため,若手研究者や学生には良い励みになります.賞を狙う野心的な研究者にとっては「使える」でしょう.さらに,ワークショップの翌年には電子情報通信学会英文論文誌で特集号が発行され,それに投稿できるため,早く論文数を稼ぎたいという人にも「使える」でしょう.もちろん通常の論文誌と同様の査読はありますが,特集号ゆえに出版までの期間が短めです.また情報交換の場としても「使え」ます.宿泊場所としてコテージ(山小屋風の相部屋)を顔見知り何人かでシェアすれば,静かで快適な部屋で共同研究に打ち込めます.なお,筆者にとってはそれが楽しみでもあります.毎年何らかの興味深いテーマでの特別セッションが企画されていることも関連分野をのぞく良い機会となるでしょう.「離散システム理論」以外の分野の動向も知ることもできるのはお得だと思います.
このように,いろいろなメリットがあります.今まであまり気に留めていなかっ た本ワークショップにも,これからちょっと気にかけていただき,参加を御検討 いただけたらと思います.
それでは,皆様,軽井沢でお待ちしております.
Back to Table of Contents Last modified: Thu Jul 21 08:14:25 JST 2005 modified/maintained by R.Uehara (uehara@jaist.ac.jp) |