NHC国際会議会場選定顛末記

伊藤大雄
京都大学大学院情報学研究科通信情報システム専攻
itohiro @ i.kyoto-u.ac.jp

NHC国際会議を運営するに際して起きた面白い話はそれはそれは沢山あります。 しかも単に面白いだけでなく、皆様の参考になる話も一杯あります。 ただ問題なのは、それらのほとんどはここに書けない話ばかりだということです(笑)。 ですから、ここではそのうち比較的穏当な話題である会場選定について書くことにします。 なお、私の記憶に基づいて書いておりますので、不正確なところがあるかもしれません。 お話だと思って読み捨てておいて下さるようお願いします。

会議開催が決まったのは確か7月で、 さっそく京都コンベンションビューロー(以下KCB)の千崎さんに連絡して来ていただきました。 KCBというのは、京都府や京都市、京都の商工会議所や観光協会などが出資して 作った団体で、無料で国際会議の開催を手伝ってくれる、 とても有り難い組織です。 千崎さんというのはそこの課長さん(数年前に名刺をもらった時の肩書きなので その後昇進しているかもしれません)で、 経験豊富、腕利きの方です。 これまでRAMP2002, ISAAC2003とお世話になっており、 いつも最初の打合せにはケーキ類を持ってきてくれますが、 これはだいたい私と堀山さんと秘書さんとで消費してしまい、 岩間先生の口に入ったことはありません。

会場探しの前に日程ですが 2月の21日の週と決められました。 それより早いのは入試などがあって無理で、 それより遅いと3月にかかってしまいますが 科研費は2月中に使えと言われているので、 この日程はかなりタイトです。 会場の候補としてまず考えられるのは 当然、ISAAC2003で使用した Rーガロイヤルホテル京都(一部伏せ字)ですが、 同じ所は芸が無いのと、 ISAAC2003で途中からサービスが急に今一つになった (経営者が変わって方針が変更されたという噂がある) 記憶があるので、 今回は止めておくことにしました。 京都で同レベルのホテルと言うと 宝ヶ池プリンスホテルや 京都ロイヤルホテルなどです。 しかし京都ロイヤルホテルが 京大入試(前記入試が25、26日でした)の受験生対応で 部屋が十分に確保できないということで消えました。 岩間先生は宝ヶ池プリンスを最初からご希望で、 そこは「空きそうだが9月にならないとはっきりしない」 とのことだったので待ちましたが、 結局駄目ということになってしまいました。

こちらは宝ヶ池プリンスが空くことを期待していたので ちょっと焦りました。 もう9月なので、あまりぐずぐずしていられません。 するとそこに千崎さんから 「都ホテルが安くやってくれる」 とのメールが来ました。 都ホテル と言えば、京都ホテルと並ぶ京都の最高級ホテルで、 そんなところでやろうなんて、ちょっと大げさかもしれませんが 青天の霹靂でした。 いや時代が変わったのかなあと思いつつ さっそく(メールをもらったのが金曜日の午後で、 すぐ次の月曜日の午前に)下見に行きました。

都ホテルで担当者と話をしてみると、 会場費の見積り、宿泊料金の割引などは確かにこちらの希望通りなのですが その他がいけません。以下はそのときの会話の再現です。

「昼食は一人2000円以下で考えてるのですが」
「その値段では弁当しかありませんね」
「バンケットは一人6000円以下でできませんか」
「それはちょっと・・・。最低でも10000円は必要です(目に冷たい笑いが浮かぶ)」

いや、取り付く島もありませんでしたね。 外で食事するとしても都ホテルのあるあたりは何もありません。 (高級料亭ならありますが。) ホテル側としては会場費と宿泊費をまけて会議を呼んで 宴会費で儲けようと言う心積もりなのでしょう。 やはり都ホテルで会議をしようというのが 身分不相応だと分かって早々に退散しました。

いっそ大津プリンスはどうかとあたってみて 一応やれそうでしたが、 京都と大津では集客力が違いますから なるべくなら京都市内でやりたいものです。 困っていると千崎さんから 「予定を前か後にずらせば京都ロイヤルホテルでできる」 と連絡が入りました。 前述のように この日程はかなりタイトで動かせないと思われたのですが、 事務に交渉してみると、あっさり「3月にかかっても良い」 ということになりました。 後日分かったのですが、人件費がからむ科研は 支払いが2月どころか年度内に終了することも無理だったりするので、 3月初旬の会議など余裕綽々だったのです。

これならば一週後ろにずらして京都ロイヤルホテルでできます。 河原町三条ですから繁華街で交通の便も良いし、京大からも そう遠くありませんし、場所としてはほぼ最適です。 これでいけると思っていると岩間先生が 「ホテルフジタはどうですか」 とおっしゃるじゃあありませんか。 「フジタで出来るのならばKCBが候補に出すはずなので 駄目なんですよ」と返事して、この件はこれで終わったと 思っていましたら、 なんと岩間先生が直々にホテルに連絡して、 「伊藤さん、電話したら出来ると言ってましたよ。 宴会場を押さえてもらいました。 これが担当者の連絡先です」とメモを渡されました。(^^; ボスの御意向を無視するわけにはいきませんので、 千崎さんに尋ねてみました。 するとホテルフジタは京都観光協会を脱会しているので KCBが間に入って交渉することができない ということがわかりました。 KCBが間に立ってくれないとなると 交渉の面倒さが倍増(3倍増ぐらい?)します。 てなわけでボスの御意向と言えどもこれは却下です。 ホテルフジタの担当者に電話して、 丁寧にキャンセルのお願いをしました。

もう日程を前か後に動かすしかありません。 そこでkaken-allにメールを流して皆さんのご意見をお聞きした結果、 圧倒的多数が「(前は駄目だが)後なら良い」ということでしたので、 後ろにずらして京都ロイヤルホテルでやることにしました。 大津プリンスはKCBにキャンセルしてもらいました。 こうして会場がなんとか決まったわけです。

会場一つ決めるのでも結構紆余曲折があり、 裏方の仕事は色々たいへんです。 しかしその結果あのような実りある会議になったのですから、 やりがいのある雑用であると言えます。 会場決定のあとも色々あったのですが、 あまりダラダラと続けても退屈でしょうから、 このへんにしておきます。


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Last modified: Thu Jul 21 08:16:20 JST 2005
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